許されない罪、救われる心
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
94部分:第九話 全てを壊されその三
第九話 全てを壊されその三
あるいじめサイトにも流れていた。ある巨大掲示板にもだ。それを見た人間達から怒涛の如く怒りの書き込みが殺到していた。
「何だこの連中!」
「こんなこと許されるのかよ!」
「おい、この学校何処だ!」
「それでどの連中だ!」
そうしてその怒りの声が四人の個人情報の調査への書き込みになっていた。四人はこのことにも震え上がることになった。
「ど、どうしよう・・・・・・」
「私達の個人情報までばれたら」
「家に誰か来る?」
「来るよな、絶対」
こう話してだ。ある喫茶店の隅で震えあがっていた。
「このままだとな」
「どうしよう、そうなったら」
「そんな、家までって」
「学校だけじゃなくて」
「そんなの絶対に耐えられない・・・・・・」
四人共頭を抱えるしかなかった。もうどうしていいかわからないかった。
岩清水はそれを自分のサイトにも貼っていた。従兄と共有しているいじめ糾弾のサイトにだ。そのうえでまた従兄と話していた。
「いい感じだよ」
「皆かなり怒ってるんだね」
「うん、凄い勢いだよ」
満面の笑顔で従兄に話していた。
「この調子でいけばもうね」
「順調にいけるね」
「うん、順調だよ」
満面の笑顔でまた従兄に話す。
「さて、この後は」
「どうするんだい?」
「いつも通りやるよ」
こう話すのであった。
「いつも通りね」
「そうかい。いつも通りなんだね」
「そうしていい頃合いだよね」
「うん、それでいいよ」
従兄も満面の笑顔で彼に話す。
「ここではそうする時だよ」
「そうだね。それじゃあね」
こうしてだった。岩清水はまた動いたのであった。
ある日だ。如月が家に帰るとだ。いきなり弟に言われた。
「姉ちゃんなんか最低だ!」
「えっ、睦月どうしたの?」
「学校に人が来たんだ、校門のところで拡声器で言っていたんだ!」
姉を指差してそれで責めるのだった。
「姉ちゃんが学校で何をしていたかって。いじめなんてしていたんだね」
「そんな。あんたのところに来て」
「そうだよ。僕のお姉ちゃんがいじめをしていたってね!」
それを彼の学校まで来て言っていたというのだ。
「それで僕まで言われたんだ。いじめっ子の弟だってね!」
「あんたまで・・・・・・そんな・・・・・・」
「それで僕クラスの皆にいじめっ子の弟だって言われたんだ!全部お姉ちゃんのせいだ!」
「あの、それは・・・・・・」
「姉ちゃんなんか大嫌いだ!」
遂にこう言われた。
「姉ちゃんのせいでこうなったんだ!姉ちゃんなんか最低だ!」
まずは弟からだった。そしてだ。
母のパート先のスーパーでもだ。拡声器を持った岩清水が来たのだ。
そしてだ。拡声器でこう叫ぶのだった。
「城崎さんの娘さんはです」
「ああ、パートの」
「あの人?」
「あの人の娘さん?」
見せの者は彼のその話を聞いてそれぞれ言った。
「あの人がどうしたんだろう」
「一体」
「こんなことをしていました!」
ここでだ。写真を出した。そしていじめの現場の録音も流した。声だけだがそれは確かに店にまで聞こえるように流れた。
「これは何でしょうか!」
「えっ、これってまさか」
「ああ、そうだよな」
「間違いないよな」
「まさか」
それは紛れもなくいじめのものだった。誰もがわかるものだった。
ページ上へ戻る