許されない罪、救われる心
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90部分:第八話 生徒集会その六
第八話 生徒集会その六
「だから。もうそろそろね」
「許してあげるの」
「君だってずっと絶交したままってどうなのかな」
弥生が如月達に言った言葉のことも話した。
「それって」
「けれど」
「まだ許せない?四人のこと」
「椎葉さんをいじめていたのは事実だから」
この事実は忘れたことはない。だからこそ許せないのだ。
「だからね」
「それはわかるよ。僕だってね」
「やっぱり許せないわよね」
「今はね」
話を限定してみせた。
「今は許せないよ」
「今はなの」
「けれどここで謝ったらね」
「許せるのね」
「若しかしたらね。少なくとも気持ちは少しは変わるだろうね」
彼自身こう予想していた。自分自身のことをだ。
「今みたいに頑ななままじゃないと思う」
「そうなのね」
「だから。君も変わるんじゃないかな」
「変わればいいわね」
弥生は自然にこう答えた。答えることができた。
「じゃあ」
「とにかく。話を聞こう」
「ええ」
こうしてであった。二人はその四人を見るのだった。その四人はマイクを手に話をはじめた。壇上に四人横一列に並んで座っている。
「私達、同じクラスの椎葉神無さんをいじめていました」
「ずっといじめていました」
こうマイクで学校の人間全てに話す。
「酷いことをしてきました」
「そのことを皆さんにお話します」
こう話してであった。
「悪いことをしていました」
「すいません」
ここで四人一斉に頭を下げた。
「このことを皆さんに、椎葉さんに謝ります」
「もうしません」
「絶対にしません」
こう言うのであった。それを聞いた学校の面々は。
「謝ったしいいんじゃないか?」
「そうよね」
「確かに悪い奴等だけれど」
「もうこれでいい?」
「許してあげる?」
そしてだ。葉月も言った。
「もうこれでいいよね」
「いいのね」
「僕はそう思うよ」
こう弥生にも話した。
「そう思うけれど。どうかな」
「そうね」
弥生もだ。ここで頷いた。
「じゃあもう」
「そうしようか」
二人は許す方に傾きかけた。しかしであった。
ここでだ。体育館が急に暗くなった。
「えっ、カーテンが」
「閉まった?」
「それに灯りも」
この学校の体育館のカーテンはボタン一つで自動で全て閉じられる。そしてである。カーテンが閉じられても灯りは点けられなかった。
それで体育館の中は必然的に真っ暗になった。
そして壇上にだ。映画用の幕が出て来た。
「何か映画するの?」
「だとしたら何?」
「一体何を上映するの?」
「っていうか」
皆首を傾げざるを得なかった。
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