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戦国異伝供書

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第二十八話 天下の政その八

「そして耶蘇教がじゃ」
「聞けば聞く程ですな」
「強い力を持っていますな」
「どうにもならないまでに」
「そうなっていますな」
「全くじゃ、皇帝はいてもじゃ」
 神聖ローマ皇帝のことも話した。
「かなりな」
「その力はですな」
「限られていますな」
「先の幕府の公方様の様にな」
 信長はこう考えた、神聖羅馬皇帝のことを。
「耶蘇教に中々逆らえず領主達も力が強く名」
「上手く治められていない」
「そうした状況ですな」
「神聖羅馬帝国という国は」
「その様じゃな、そうなってはじゃ」
 まさにというのだ。
「ならぬな」
「全くですな」
「それでは国が乱れてしまいます」
「国の中から乱れます」
「そうなってしまいます」
「今もその様じゃが今後はじゃ」
 信長はその目を鋭くさせて述べた。
「さらにじゃ」
「乱れますな」
「応仁の乱の様になりますな」
「やがては」
「そうなるのう」
 信長はこうも述べた。
「前にあの国の話を聞いても思ったが」
「聞けば聞く程ですな」
「やがてそうなると思えますな」
「左様ですな」
「それでは国も民もじゃ」
 国が乱れればというのだ。
「どれだけ迷惑か」
「全くですな」
「そのことを思いますると」
「あの国については」
「やがてはな」
 また言う信長だった。
「大きな乱を起こす、そしてその乱にな」
「国内の領主達だけでなく」
「他の国々もですな」
「入ってきて」
「恐ろしい戦になりますな」
「応仁の乱の様になるがそれ以上になるであろう」
 これが信長の読みだった。
「しかし本朝はな」
「そうした戦を起こしてはなりませんな」
「決して」
「そうした戦を起こさない様にしておく」
「その為の全ての手を打っておく」
「それが殿のお考えですな」
「そうじゃ、わしは天下を統一してな」
 そうしてなのだ、やはり信長の関心はそこにあるのだ。天下統一だけでなくそこから先の泰平を長く守り栄えることがだ。
「長い泰平を築くぞ」
「それでは」
「その様にですな」
「これからも政をしていきますな」
「そしてその為にですな」
「我等も働くのですな」
「そういうことじゃ、とかく他の国のことは常に見聞きすることじゃ」
 日本の外の国々のこともというのだ。
「明、南蛮の国々もな」
「そのどれもですな」
「常に見ておき」
「何かあれば」
「その時はですな」
「そうじゃ、動く用意もしておく」
 そのこともというのだ。
「そして南の島々はな」
「手に入れる」
「そうしていきますな」
「琉球の南の島々にしても」
「明の東にある大きな島も」
「あの島の名は確か美麗といいましたな」
 石田が言ってきた。
「そう記憶しております」
「美麗か」
「どうもそうした名前だったとか」
「左様か、美麗というか」
「今は別にどの国のものでもないといいます」
「明の領地ではないか」
「あの国は特に島には興味ない様で」
 それでというのだ。 
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