許されない罪、救われる心
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88部分:第八話 生徒集会その四
第八話 生徒集会その四
「あの、今度の生徒集会ですけれど」
「いいですか?」
「私達ちょっと学校の皆に言いたいことがあります」
「それで」
「あのことだな」
先生は四人の言葉を聞いてだ。自分の席から彼女達を見た。
「それでか」
「はい、それでなんです」
「あの、もう反省してます」
「ですからそれで」
「その時間に学校の皆に」
「そうだな。それがいいな」
先生は目は冷たい。だがそれでもこう四人に言うのだった。
「君達もこのままずっと過ごしていてもよくないな」
「それじゃあいいんですね」
「生徒集会に」
「その時に皆に」
「それで」
「そうするといい。校長先生には先生から言っておく」
助け舟を出した形になっていた。
「それじゃあ。今度の生徒集会だな」
「はい」
「御願いします」
四人は先生の今の言葉を聞いて久し振りに明るい笑顔になった。そうしてであった。四人はそれでこの話を終わらせようとしたのだった。
ところがだ。岩清水もまた。四人が願い出たのと同じ、つまり自分の担任の先生に対してだ。こんなことを申し出たのである。
「先生、今度の生徒集会ですけれど」
「どうしたんだ、一体」
「少し器具を使わせてもらっていいでしょうか」
「器具を?」
「はい、映像のです」
それだというのだ。
「集会がある体育館の映画用の幕を下ろさせてもらっていいでしょうか」
「それをなのか」
「はい、それをです」
こう先生に願い出るのだった。
「その他のものはこちらで用意しますので」
「何かあるのかい?映像って」
「学校の皆に是非見てもらいたくて」
それでだというのだ。
「それでなんですけれど」
「ううむ、それでか」
「はい、それでです」
また言う岩清水だった。
「御願いできますか」
「それで何を映すんだい?」
「その時にわかります。別に猥褻なものではないです」
「そんなのを映すとは流石に思わないがな」
先生もそれはわかっていた。岩清水はそうしたことはしない人間ということをだ。だがそれ以上に危うい男だということはわかっていなかった。
「そうだな。ここは」
「いいでしょうか」
「よし、いいだろう」
先生は許可を出した。
「このことも校長に話しておくか」
「このことも?」
「ああ、何でもないよ」
四人からの申し出の話は彼にはしなかった。こうしたことはその時まで生徒達には内密にしておいた方がいい、こう判断したからだ。
「別にね」
「そうですか」
「とにかく話はわかった」
それはだというのである。
「じゃあ話はしておくよ」
「はい、御願いします」
こうして彼の話も決まった。岩清水はそれを許可してもらった時にだ。残忍な笑みを浮かべた。そうしてそのうえで準備するのであった。
その中でだ。また従兄と彼の部屋で話す。
「いよいよだよ」
「いよいよだね」
「うん、映像を流すよ」
こう従兄に話すのだった。
「これからね」
「よし、これで相手を一気に追い詰めることになる」
従兄はこのことを確信して笑っていた。
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