提督がワンピースの世界に着任しました
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第33話 定例会議
マリンフォードに居る海軍元帥のセンゴクが頭を悩ませている頃、平賀提督や艦娘達が居る神威島でも会議が行われていた。
「定期報告会を始めます」
「ほうこくかーい」
俺の言葉を受けて、机の上に立つ妖精さんが声を合わせて楽しそうに言う。部屋の中に居る、他の人達も頷いて会議は始まった。
「じゃあ、まずは農業担当。報告を」
「了解しました」
指名を受けた神威島で農業関係の管理を担当しているハインツが、報告するのに席から立ち上がった。彼は海賊に襲われた村からこの島に移住してきた人間の一人で、今は神威島で野菜や果物などを育てる仕事をしてもらっている人物だった。
「育てていた作物の全て、無事に収穫が完了しました。生育環境にも、食べたりするのにも時に問題はありませんでした。収穫量は資料にまとめた数となります」
「そうか、それは良かった!」
今までは鎮守府に貯蔵されていた食料や、外から買ってきた食べ物で島に住む人達は食いつないできたが、コレには限界があった。そこで、神威島でも自給自足が出来るようにと島を開墾し農業を始めていた。
不安だったのが、この島でも問題なく野菜が育つかどうか。この島は、どうやら俺や艦娘達と共に異世界からやって来たのではないか、という疑問があったから。地図にも載っていない島だったので、島ごと別の世界からこの場所に飛ばされてきたのではないか、という考えがあった。
その場合、この世界の植物が土地に合うのかどうか。作物が無事に問題なく育つかどうかが心配だった。しかし、その心配は杞憂だったようで一安心だ。
「収穫に問題は無かったので、今後は更に田畑を広げていきたいと思います」
「うん、わかった。そのように取り計らって下さい」
今後の農耕についてのアイデア提案を受けて、農業エリアの拡大を了承する。神威島では、今このようにして島の開発が推し進められていた。
「じゃあ、次は私から」
「お願いします」
手を上げて、次に報告してきたのがニコ・オルビア。彼女は、オハラから移住してきた研究班チームの統括のような仕事を請け負ってくれていた。
「歴史の本文の研究は、順調に進んでいます」
バスターコールが海軍の手により発動され、今では地図上からも存在を消されたオハラ。島の中央に全知の樹と呼ばれる巨大な木が生えていたが、それも燃え尽きてしまっていた。だが湖に投げ込んで、燃えないように一時的に避難させた本の数々は、なんとか無事だったよう。
騒動が収まって誰もオハラに近寄らなくなり無人島になった頃を見計らって、湖にあった書物を全て引き上げて神威島に運び込みが完了していた。
そしてクローバー博士が主導して歴史の本文の研究がこの神威島にて順調に続けられている。今では、ココ神威島が第二のオハラと呼べるぐらいの場所に成り代わっていた。
「今回の研究結果の報告は、以上です」
「わかった。ありがとう」
考古学に関する専門的な話が行われて、オリビアの報告が終わる。この研究結果には、同盟関係にある革命軍も注目しているらしくて、価値のある情報になるだろうと予想している。
「それでは、次は私が」
「お願いします」
手を上げて主張する彼は、革命軍から派遣されてきたテリー・ギルテオという名の男だった。友好を示すためなのか、革命軍の活動を律儀に報告しに来てくれる人物だった。もちろん、神威島の状況を調査するために送られてきている可能性もあるが、今の所は知られても困るような不都合もないので定例会議にも参加してもらっている。
「革命軍は、新たに2つの国と同盟関係を結ぶことに成功しました」
「なるほど」
世界政府という存在を倒す事を目的に集まっているらしい彼らは、かなり精力的に活動している様子。短い間にどんどんと仲間を増やしていっているし、組織の規模も大きくなってきているようだった。
「じゃあ、本日の会議も終了。お疲れ様でした」
こうして一時間ほどの話し合いを行い、それぞれの神威市までの活動内容を把握する事が出来た。俺の言葉で会議が終了する。次回の会議までに各自行うべき内容の指示を出して解散した。
食糧問題に目処が立ち神威鎮守府の状況もだいぶ安定してきていた。食については大丈夫だし、次は住について。
島の防衛に関しては今のところ問題は無い。いま現在、神威鎮守府に着任している艦娘の数は以下の通りだ。
駆逐艦
吹雪、夕立、舞風
軽巡洋艦
天龍、北上
重巡洋艦
妙高
軽空母
鳳翔
正規空母
加賀、赤城
戦艦
金剛、長門
潜水艦
伊168
工作艦
明石
給糧艦
間宮
練習巡洋艦
鹿島
上記の計15隻もの艦娘達が増えていた。オハラの事件以降も少しずつ建造を行ってみた結果。少しずつだが着々とその数を増やしていっている。
「伊168よ。イムヤでいいわ…よろしくねっ!」
「平賀だ。よろしく」
伊168という潜水艦の建造に成功したことで、海底にも調査を向かわせることが出来るようになった。
そして意外にも、この世界の海の底に沈んでいる船の藻屑が多くて、その中に資源となる物が手付かずで残されていた。海に潜れるイムヤの特性を活かすと、それらの回収に大変役立ち作業がとても捗った。
今では、神威鎮守府で一番の稼ぎ艦娘としてイムヤの名は知られるようになっている。
「工作艦、明石です。少々の損傷だったら、私が泊地でばっちり直してあげますね。お任せください!」
「提督の平賀だ。工作が出来る人材が不足していたんだ。ぜひとも手助けしてくれ」
まさか彼女が来てくれるなんて思っておらず、握手を交わして明石を歓迎する。そして、彼女が宣言した通り工作艦として、艦娘装備の製造に大活躍してくれた。
その他にも、鎮守府の施設修理や廃材から生活用品を作成してくれたりと獅子奮迅の活躍を見せてくれた。
「航空母艦、赤城です。空母機動部隊を編成するなら、私にお任せくださいませ」
「よろしく赤城、提督の平賀だ。来てくれて頼もしいよ」
彼女が、燃料や食糧問題に見通しがつく頃に来てくれて本当に良かった。ウチにはもう加賀が居て、燃費の問題に悩まされていたが今はだいぶ余裕もある。
「提督さん、お疲れさまです。練習巡洋艦、鹿島、着任です。うふふ」
「平賀だ。よろしく頼む」
彼女が神威鎮守府に来てくれた後、一気に艦娘達の練度が上がっていくのが分かった。
ただでさえ人間離れした力を持っている艦娘達。一人居るだけでも島の安全を完全に守りきれる程の強力なパワーをその身に備えている。そんな艦娘が15隻も居るのだから神威島は盤石だと言えるだろう。そして今後も、建造資材として使える悪魔の実というアイテムを手に入れることで艦娘達を増やしていくことが可能だった。
だがしかし、安定した今の鎮守府の状況は嵐の前の静けさなように俺は感じていた。なにか起こる、前触れのような危機感なのではないかと何かを予感せずにはいられなかった
そして、そんな事を考えている俺のもとに革命軍のリーダーであるドラゴンが海軍に捕まったという知らせが届いた。
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