許されない罪、救われる心
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78部分:第七話 地獄のはじまりその五
第七話 地獄のはじまりその五
「そうじゃないんですか?」
「それは」
「いじめはそう簡単には解決しません」
正論を先生だけでなく周りにも言う。
「ですから僕はここで皆に訴えるんです」
「いじめをなくす為に」
「先生はいじめは嫌いですか?」
岩清水は先生のその顔を見て問う。見れば整った顔をして澄んだ目をしている。この先生が生真面目な善人であることを見抜いたのだ。
「それはどうなのですか?」
「勿論だよ」
先生はその真面目な声で答えた。
「いじめは絶対に許しちゃいけないよ」
「そうですよね。ですから僕は」
「訴えるんだね」
「それはいけませんか?いじめを解決する為に」
ここで周囲の反応を目だけでちらりと見る。するとだった。
周囲もだ。彼の考えに賛同していた。そうしてであった。
「先生、ここはこいつの言う通りですよ」
「ですからここは」
「彼の好きにさせましょう」
「いじめをなくす為に」
生徒達の善意の言葉を受けるとだった。善意の人である先生も頷いた。そうしてそのうえでだ。先生は岩清水に対して告げたのだった。
「わかった、それじゃあ」
「止めるべきですか?」
「いや、続けるんだ」
岩清水の顔をじっと見据えての言葉だった。
「僕が間違っていたな。いじめは徹底的に根絶すべきだ」
「そうですよね。それじゃあ」
「岩清水君、続けてくれ」
先生は彼をまっすぐに見ていた。
「そしていじめを根絶する為に」
「する為に?」
「僕も力になりたい」
先生も協力するというのである。
「そうさせてもらうよ」
「有り難うございます」
「そうだよな。生徒も先生も協力してな」
「いじめを根絶しないとね」
「その通りね」
皆頷いてだった。そのうえで岩清水に賛同していく。彼は学校全体を味方につけてきていた。そうしてであった。
学校の先生や生徒達の間でだ。自然に犯人探しが行われだしていた。
「あのクラスでラクロス部っていったら」
「そうよね」
「他に四人いるけれど」
「あの連中怪しくない?」
「っていうかあいつ等しかいないんじゃ」
「そうだよな」
学校全体で如月達を疑惑の目で見てだ。怪しみだした。そしてそこでだった。彼女達がいるそのクラスの生徒の話を聞く者が出て来た。
「えっ、やっぱりそうなの」
「あの連中だったの」
「ああ、そうだよ」
「あいつ等よ」
クラスの面々がだ。尋ねてきた者に話した。
「あいつ等がいじめていたから」
「あいつ等が犯人よ」
「裏サイトに書き込みもしてたし」
「口止めしようとしたし」
こう嫌悪感に満ちた顔で話していくのだった。そうしてだ。
「あいつ等が全部やってたから」
「ロッカーのことも机のことも」
「ゴミを入れたり落書きしたりね」
「教科書だってジャージだってね」
「机や椅子に接着剤も塗ってたし」
「そこまでやったのか!?」
皆ここでだ。本気で怒った。
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