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戦国異伝供書

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第二十八話 天下の政その五

「五万はな」
「持って行きますか」
「そうする、しかし鉄砲も増えた」 
 これもというのだ。
「随分とな」
「いや、何でもです」 
 金森が信長に鉄砲のことを話した。
「南蛮の全ての国を合わせてもです」
「本朝程にはじゃな」
「鉄砲はないとか」
「ははは、そう思うとな」
 信長は村井の言葉を聞いて笑って応えた。
「本朝は実は鉄砲が多いな」
「左様でありますな」
「しかし鉄砲でなくな」
「これからは」
「砲もじゃ」
 こちらもというのだ。
「多く持ちたいのう」
「そちらについても」
「あれを城攻めに使い」
 そうしてと言うのだった。
「船に乗せる」
「鉄甲船にした様に」
「南蛮の船の様にな」
「そうして水軍もですか」
「強くするのじゃ」
 そちらもというのだ。
「南蛮の船達の様にな」
「水軍もですか」
「そうじゃ、そうしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「国を守るのじゃ」
「海からも」
「そうする、船も造るが」
 それだけでなく、というのだ。
「それだけでなくな」
「砲も載せて」
 その船にとだ、九鬼が信長に問うた。
「鉄甲船の様な船を多く造り」
「本朝を守るのじゃ」
「海からも」
「南蛮からな、あと出来ればな」
 信長はさらに言った。
「琉球とは商いをしてその南の島々をな」
「琉球より南の」
「明の傍に大きな島があるというな」
「はい、何でも」
「その島を手に入れてじゃ」
 そうしてというのだ。
「治め南蛮にも備えて明とは商いをする」
「あの国とは」
「そうしていく、それと倭寇は退治する」
 明の海や海辺を荒らし回る者達のことにも言及した。
「そして降るならな」
「水軍に入れますか」
「そうせよ、周防や長門にいる者達は既にそうしておるが」
 織田家の水軍に組み入れているのだ、彼等は。
「九州の者達もじゃ」
「やがては」
「組み入れてじゃ」
 そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「我等の水軍にもしますか」
「倭寇として暴れさせるのでなくな」
「そして明とは」
「深く交易をしていく」
 この国とも、というのだ。
「南蛮と同じくな」
「そうされますか」
「南蛮は切支丹が厄介じゃが」
「明はありませぬな」
「だからじゃ」
「明とはですな」
「気兼ねなくじゃ」
 切支丹に警戒することなく、というのだ。 
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