許されない罪、救われる心
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64部分:第六話 暴かれた時その八
第六話 暴かれた時その八
「けれどね。そうじゃないとおかしくない?」
「おかしいって」
「どういうこと、それって」
「つまりは」
「だから。部員以外にはこの部室に入ったりしないじゃない」
皐月が言うのはこのことだった。実は彼女は岩清水に会っていた。そして彼からこのことを言われてそれで考えを変えたのである。
「そうでしょ、だからね」
「そうは考えたくないけれど」
「同じ部員を疑うのはね」
「ねえ」
「ちょっとね」
「私だってそうよ」
ここで皐月もこう言った。
「それでもよ。おかしいでしょ、今まで」
「確かにね。どう考えてもね」
「ラクロス部じゃないと部室には入られないし」
「そうそういつもは」
「男子生徒だったらね」
皐月はまた岩清水から聞いたことを話した。
「それこそ下着とか取っていくじゃない。泥棒なら皆の財布を狙うわよね」
「椎葉さんだけを狙わない」
「確かにそうね」
「そうなるわね」
「そしてよ」
皐月は岩清水から聞いてだった。色々なことがわかってきた。だがそのわかってきたことは彼が多分に吹き込んだものであることには気付いていない。
「椎葉さんって転校生よね」
「ええ」
「そうよね」
「そうなるわよね」
「それだったらよ」
皐月はさらに話す。
「やっぱり。ラクロス部の部員になるわ」
「まだ他の部には知られてる娘じゃないし」
「それだったら」
「つまりは」
ここでだ。部員達もわかってきたのである。
そのうえでだ。皐月の話をさらに聞くのだった。
「ラクロス部の娘の可能性が強い」
「じゃあ誰?」
「誰なの?」
「それを調べていくわ」
皐月は真剣な顔で言った。
「もうね。容赦しないから」
「そうよね。今までやってきたこと酷過ぎるし」
「こんなことする娘いるんだったら」
「絶対に許さないわ」
「そうよ、本当によ」
四人以外の部員以外も話す。四人はこの話をバツが悪い顔で聞いていた。そしてだ。ここでその四人にだ。皐月が声をかけてきたのだった。
「ねえ」
「あっ、はい」
「何ですか?」
「それで」
「貴女達椎葉さんと同じクラスだから」
彼女が言うのはこのことからだった。
「だからね」
「はい、だから」
「何かありますか?」
「あるわ。探し出して」
真剣な顔で四人に告げた言葉だった。
「いいわね、絶対にね」
「絶対に、ですか」
「そうしろっていうんですね」
「つまりは」
「私達に」
「貴女達が一番近いから」
だからこそだ。皐月はそれで四人に告げたに過ぎない。しかしであった。
その言葉はだ。四人を追い詰めるものだった。彼女達は皐月のその言葉を受けてだ。かなり狼狽を見せた。皐月もまたその狼狽を見た。
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