蜘蛛の神
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第三章
蜂か負けを認めてそうしてだった、アナンシに巣から出してもらった。そのうえで自分の巣に戻った。
この後でだ、アナンシはクワガタの神に言った。
「一重に見えても」
「実は五重にしていたんだね」
「そう、巣をね」
「一重だと簡単に破られても」
「五重ならどうか」
「それでやってみたけれど」
「見事成功したよ」
笑顔で言うアナンシだった。
「僕の作戦勝ちだよ」
「ぱっと見じゃわからないんだね」
「そう、糸が一重か五重か」
「それで通じたんだね」
「糸をよく重ね合わせるんだ」
巣を張る糸、それをだ。
「そうすればぱっと見ただけじゃわからない」
「だから余計にいいんだね」
「そうさ、本当に今回は」
「君の作戦勝ちだね」
「見事にね、流石の蜂も」
いつも巣を突き破って得意になっている彼もというのだ。
「今回ばかりはやってやったよ」
「そこは流石君と言うべきか」
「ははは、いつも簡単に破られていたからね」
「五重にしてみたということか」
「二重でも駄目だと思ったし」
「三重四重でもだね」
「それなら五重でどうか」
そこまで重ねればというのだ。
「そう思ってやったら正解だったよ」
「君のその知恵が蜂に勝った」
「結局大事なのは頭だよ」
「頭をどう使うかだね」
「それで勝ちもするし負けもするんだよ」
「そういうことだね」
「そう、だから僕はこれからもね」
まさにとだ、アナンシはクワガタの神に話した。
「頭を使ってことを進めて果たしていくよ」
「その君を応援していいかな」
「是非頼むよ」
笑顔で応えたアナンシだった、そうしてそのうえで巣づくろいをした。見事蜂にやり返すことが出来たその巣を。
蜘蛛の神 完
2018・7・11
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