許されない罪、救われる心
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62部分:第六話 暴かれた時その六
第六話 暴かれた時その六
「だからやっぱりさ」
「心配なのは心配よ」
「だったらいいけれど」
「それじゃあ今度こんなことがあったら」
弥生と葉月は気付かないまま四人に告げた。
「力、貸してね」
「一緒におかしなことは止めさせようね」
「わかったわ」
如月は全身から冷や汗を流しながら答えた。
「それじゃあね」
「ええ、御願いね」
弥生は如月のその返答に頷いて返した。
「それで誰がやったのか突き止めないと」
「そうだよ。何かもう許せなくなってきたしね」
ここでこんなことも言う弥生と葉月だった。
「それで止めさせて」
「そうしよう」
「そうだね」
岩清水はタイミングを見計らって二人のその言葉に頷いた。
「それじゃあそれはね」
「それは?」
「どうかしたの?」
「僕に任せて」
善良そのものを装っての申し出だった。
「僕にね」
「岩清水君何か考えがあるの?」
「だとしたらそれって何なの?」
「うん、ちょっとね」
無意識を演じて四人を見る。だが四人も今はその視線に気付かなかった。
「やってみるよ。それじゃあ任せてくれるかな」
「犯人がわかるなら」
「御願いできるかな」
二人は少し考えてから岩清水に返した。
「私達もいい加減頭にきてるし」
「是非ね」
「うん、わかったよ」
その言葉に頷く岩清水だった。
「それじゃあやってみるから」
「ええ、御願いするわ」
「それじゃあね」
「そういうことで。ねえ」
岩清水は今度は四人に顔を向けた。
「君達もさ」
「うち等か?」
「私達もなの」
「うん、そうだよ」
こうその何も知らないふりをした仮面で述べた。
「力を貸してね」
「力って」
「そう言われても」
「一体何?」
「何をするの?」
「犯人を探すのに力を貸して欲しいんだ」
わかっているが気付いてもないふりをしていた。
「それをね」
「犯人をなの」
「それを」
「今から見つける?」
「そうするのね」
「そうだよ。だからね」
また言う岩清水だった。
「協力を御願いするよ」
「え、ええ」
頷いたのは如月だった。
「じゃあそれでね」
「御願いしたよ。それで約束して欲しいんだけれど」
岩清水はさらに話してみせてきた。
「いいかな」
「約束って」
「今度は一体何?」
「この場合の約束って」
「一体」
「若し椎葉さんにしてきた人を見つけたら」
四人を見ての言葉だった。
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