おぢばにおかえり
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第四十九話 合格してからその三
「そうした時こそ気を引き締めて」
「怪我がない様にして」
「そうしてやっていって下さいね」
「体育の授業についても」
「はい、そうして下さいね」
「何かお母さんみたいなこと言うわね」
「だって先輩ですから」
ここでいつものわからない言葉が出てきました、阿波野君はいつも私にこうしたことを言ってくるから不思議です。
「だからですよ」
「私だからって」
「ですから言うんですよ、こうしたことを」
怪我をしない様にとかそうしたことをというのです。
「気をつけて下さいね」
「その言葉は有り難う、じゃあ怪我をしない様にね」
「準備体操とかもしっかりして」
そうして身体をほぐしてというのです。
「体育の授業も頑張って下さいね」
「そうしてくるわね」
私は阿波野君の言葉に頷きました、何か妙に引っ掛かるものも感じながら。
そうして体育の授業に出ていますと。
「ちっちまただったわね」
「あの一年生の子とお話してたわね」
「毎日一緒にいるけれど」
「何処まで進んだの?」
「何処までって何もないわよ」
準備体操を一緒にしている時に言ってきたクラスメイトの娘達に返しました。
「本当にね」
「何もなし?」
「お話するだけ?」
「それだけ?」
「そうよ、一緒に神殿の中一周したりお墓地に行ったりするけれど」
これも全部です。
「たまたまだし」
「たまたまなの」
「本当にそれだけ?」
「それだけよ」
ありのままのことを皆に言いました。
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