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許されない罪、救われる心

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46部分:第五話 エスカレートその二


第五話 エスカレートその二

「有り難う」
「心当たりあるなら教えて」
「心当たり?」
「ええ、あるかしら」
 こう神無に問うのだった。
「それは。あるの?」
「それは」
 ついだ。今の状況から抜け出たくて言おうとした。しかしここで、だった。
「椎葉、来て」
「面白い漫画見つけたのよ」
「ほらほら」
 四人がすぐに来てだ。そのうえで彼女の左手を掴んだ。そうしてそのまま何処かに連れ去ろうというのだ。その彼女達にだ。
 弥生がだ。すぐに声をかけた。
「ちょっと。何してるのよ」
「何って?」
「椎葉さん何処に連れて行くのよ」
 こう如月達に問うのだった。
「一体。何処によ」
「何処にって。同じラクロス部じゃない」
「だからよ」
「ちょっと付き合いでね」
「付き合いっていうのなら」
 弥生は目を顰めさせて四人にまた問うた。
「この落書き。消して」
「そうだよ。下駄箱も酷いことになってるっていうし」
「そっちは岩清水君が行ってくれたけれど」
 尚岩清水は最初机のところにいた。そこでこっそりと携帯でその机の有様を撮っておいた。そうしたことは忘れないのだ。
「ここも酷いし」
「手伝ってくれたら有り難いけれど」
「御免ね」
 如月は軽い声で笑って返した。
「それが無理だから」
「また今度ね」
「悪いわね」
 文月も霜月も笑顔で笑って誤魔化す。そうしてだった。
 神無を連れて行く。その連れて来た場所はだ。
 今度は体育館裏だった。そこに連れ込んだのだ。
「来いよ」
「こっちよ」
 無理矢理連れて来た。そうして誰もいないのを見計らってからだ。
「何ちくろうとしてんだよ」
「言ったわよね」
 長月と如月が神無の身体を押す。それからだった。
「こいつまだわかってないな」
「言ったら酷いって」
「ねえ。もう一度やってやろうよ」
「そうよね」
 ここで文月と霜月が提案する。四人で神無を囲んでいる。
「それで何する?」
「ここだと」
「そうね」
 まず如月が応えた。ふとゴミ捨て場が目に入った。
 そのゴミ捨て場を見てだ。歪んだ、醜い笑みになって三人に告げた。
「いいこと思いついたわ」
「どうするの?」
「それで」
「ゴミはゴミ捨て場よね」 
 また三人に告げる。
「だからね」
「ああ、そうか」
 長月もここでわかった。
「こいつ捨てるんだな」
「そういうこと。ゴミ捨てよう」
 如月は神無の髪の毛を掴んでいた。そうしてそのうえで激しく振り回したり引っ張ったりしながらそのうえで三人に話していた。
「それでどう?」
「賛成」
「そうしよう」
 文月と霜月は笑顔で如月の提案に賛成した。
「それじゃあね」
「捨てようね」 
 言いながらその足で神無を蹴っている。上着やスカートに靴型がついていく。
 
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