前世の知識があるベル君が竜具で頑張る話
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しごと
「疾ッ!」
右手にアリファール、左手の人差し指中指薬指でバルグレンを握る。
最後のキラーアントの甲殻をバターのように割く。
「わー! ベル様お強い!」
お世辞ってわかってるけどっ…
やっぱり嬉しいし、やる気が出る!
「リリルカさん。魔石とドロップアイテム取ったら、大声出してモンスター呼ぶけどいい?」
「え? バカなんですか?」
素でバカ扱いされた。
「大丈夫大丈夫。ちゃんと処理するからさ」
「………不味そうだったら逃げますからね!」
「わかったよ」
リリルカさんと一緒にキラーアントの魔石を取りだし、ドロップアイテムを回収する。
「アリファール。宜しくね」
フッと、風が頬を撫でた。
「リリルカさん。いくよ」
「は、はい」
胸いっぱいに空気を吸い込む。
「ォウォォォォォォォォォアアァァッ‼」
アリファールによって増幅された声がダンジョンに反射する。
「きゃっ!?」
「あ、ごめん。耳塞ぐよう言うの忘れてたよ…」
「なんですか今の大声!? そんな体でどうやって出してるんですか!?」
「ひみつー」
細い通路に、モンスターが殺到する。
この通路なら、一対一を維持できる。
「ウ”ォ”ォ”ォ”ォ”ォ”ォ”ォ”ォ”ォ”ッ!」
ウォーシャドウ、ゴブリン、コボルド、キラーアント…あらゆるモンスターが迫ってくる。
一体一体、確実に急所を斬り、突き、薙ぐ。
足元にはドロップアイテムと魔石が落ちていく。
徐々に徐々にモンスターが減っていく。
最後の一体になったコボルドの胸の魔石をアリファールの鋒でつつく。
上層の雑魚モンスター相手だから出切る芸当だ。
「さ、リリルカさんバトンタッチだよ」
「あ、はい」
リリルカさんが駆け寄ってきて、魔石やドロップアイテムを回収する。
少し離れて、灰にならなかったモンスターを解体する。
「リリルカさん。もうちょっと下に潜りたいんだけど、いいかなぁ?」
「リリは構いませんよ」
「じゃぁ14…いや10階層位までにしとこうか」
アイテムと魔石を回収して、正規ルートで下に降りる。
「ねぇ、リリルカさん」
「なんでしょうかベル様」
「そのベル様っていうのやめない?」
「いいえ。私はサポーターです。上下関係ははっきりしておかないといけません。
ですからベル様もリリの事はリリと呼んでください」
「どうしても様付けやめないの?」
「はい」
んー…上下関係かぁ…。
「じゃぁさ、どうせならお兄ちゃんって呼んで欲しいな。僕こんなナリだからいつも子供扱いされるんだよね」
「お兄ちゃん…? 貴女は女性では?」
やっぱり勘違いしてた。
そういえば今朝もお嬢さんって言ってたな…。
「僕は男だよ。こんなナリだけどね」
「ベル様もパルゥムなんですか? でも身長の割には童顔ですね…」
「いや。パルゥムの血は引いてないと思う」
「つまり単に小さくて女顔だと」
「はっきり言うねぇ…」
「ん? ベル様はヒューマンですよね? おいくつですか?」
「十四」
「そうですか。では行きましょうかベル様」
結局呼んでくれないんだね。
「「いいいいぃぃやったぁぁぁぁ!!」」
本日の稼ぎ、10万ヴァリス。
「凄いですよベル様! 普通のパーティーの四倍ですよ!」
「リリのおかげだよ!」
取り敢えず金貨の入った袋を片方リリに渡す。
「はいこれリリの分ね」
「え?」
どうしたんだろうか。
「こ、こんなにいただけませんよ!?」
「そう? じゃぁ契約金って事で。明日からもよろしくね」
リリはとっても有能だった。
もっと深く潜れば、倍以上は稼げる。
リリの真意は知りたくはあるけど…可愛い女の子と冒険できるならいいよね!
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