許されない罪、救われる心
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43部分:第四話 岩清水健也その九
第四話 岩清水健也その九
「まあ面白くやってやりましょう」
「やるからには楽しくなのね」
「そうしてやるのね」
「そうよ。何か物凄く楽しくなってきてない?」
いじめることがだというのだ。如月の笑顔のドス黒さはさらに増してきていた。そしてそれは他の三人も同じであった。
「考えるだけで」
「だよな」
長月も同じ笑顔で如月の言葉に応えた。
「じゃあ次はな」
「何をするか考えよう」
こんな話をしてだった。四人で次にすることを考えるのだった。そしてそれは早速次の日に実行に移されたのであった。
その次の日だ。神無は一人廊下を歩いていた。四人はその彼女を後ろからこっそりつけてだ。何気なくを装って彼女に声をかけた。
「ねえ、椎葉」
「ちょっといい?」
「えっ?」
「話したいことがあるのよ」
何気なくを装って彼女に声をかけるのだった。
「だからね」
「ちょっと来て」
「ちょっとって?」
「いいから」
如月はここではわざとにこりと笑ってみせた。
「来てよ」
「ええと、何かあるの?」
神無は当然彼女達が今自分をいじめている相手だとは気付いていない。それが一体誰なのか気にはなっていたがだ。
「どうかしたの?」
「いいからいいから」
「ちょっと来てよ」
四人は彼女の手を掴んでそのうえでトイレに連れ込んだ。トイレに入れたその瞬間にだった。如月が最初にやった。
「きゃっ!」
神無の背中をその右足で思いきり蹴った。蹴られた神無はそのままトイレの壁に倒れ込んだ。それからだった。
如月は倒れた神無の背中を思いきり踏みつけた。そのうえで踏み躙る。歪んだ黒い感情をそのままむき出しにしていた。
「な、何?」
「何もこれもないわよ」
「あんた生意気なのよ」
文月と霜月がその神無を見下ろして告げた。
「だからヤキ入れてやるのよ」
「覚悟しなさい」
「覚悟って」
「ねえ長月」
如月がだった。隣りにいる長月に声をかけた。
「モップあるわよね」
「ああ、あるぜ」
長月はすぐに掃除用具を入れている場所の扉を開いてだ。早速それを出してきた。それも四人分しっかりとである。
「これ、使うんだよな」
「あと水ね」
如月はそれもいると告げた。
「それも御願いね」
「水もかよ」
「ええ、ホースがいいわね」
如月は中に青いホースがあるのを見つけてだ。あらためて告げた。
「それでこいつの汚い性根奇麗にしてやりましょうよ」
「いいな、そうするか」
こうしてだった。ホースが付けられてだ。如月がそれを握ってまだ踏み躙っている神無の頭から思いきりかけてみせたのである。
「ど、どうして?」
「だからどうしてもこうしてもないのよ」
如月は頭だけでなく身体全体にかけてきた。ブラウスもスカートも忽ちのうちに水びたしになる。そうしてそこにモップを叩き込むのだった。
そうしながらだ。また神無に告げた。
「あんたむかつくのよ」
「むかつくって・・・・・・」
「転校生なのに生意気なのよ」
これが理由だというのだ。
「ちょっと頭がいいからって調子に乗らないことね」
「そんな、私そんな・・・・・・」
「調子に乗ってんだよ」
長月は倒れたままの神無のショートヘアの上に洗剤をかけた。トイレ掃除に使うその洗剤をかけてきたのである。
「手前よ。部長にゴマすってよ」
「見てるだけでむかつくのよ」
「そうよ」
文月と霜月もここで神無にモップをつきつけた。そうしてそのモップを神無の顔にも身体にもなすりつけるのだった。
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