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カレーはスパイス

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第三章

「最後の一つだ」
「他のスパイスは揃えても」
「シナモンが必要とのことだが」
「シナモンですね」
「そのシナモンだが」 
 それはというと。
「どのシナモンが最もいいのか」
「それが問題ですね」
「ここまではわかった」
 美食家が求めるスパイスがだ。
「それはな、だが」
「問題はそのシナモンの場所ですね」
「コドモ島か」
 この島の名前をだ、吉川は暗い顔で述べた。
「あの島のジャングルの中か」
「あの島のジャングルは五万年生きているグリーンドラゴンがいましたね」
「そのグリーンドラゴンが問題だな」
「はい、非常に強いとのことですが」
 ドラゴン、それも五万年も生きていればだ。相当な力を備える様になっているのだ。
「我々なら倒せますが」
「そのドラゴンはジャングルの主だな」
「主を倒しますと」
「そこの秩序が保てない」
「自然にしてもそうですね」
「だから余計な手出しはな」
 例えそれがモンスターでもというのだ。
「すべきではない」
「だからですね」
「ここはグリーンドラゴンと話してだ」
「そのうえで、ですね」
「シナモンを譲ってもらうか」
「そうしますか」
「幸いドラゴンは会話が可能だ」
 人の言葉を理解して喋ることが出来るのだ、だから様々な術を使いこなすことも可能なのだ。巨体と息だけがドラゴンの武器ではないのだ。
「それはな」
「だからですね」
「交渉にあたるか」
「そして然るべき条件で、ですね」
「譲ってもらおう」
 そのシナモンをというのだ、こう話してだった。
 二人は一旦バリ島を離れてそのうえで船でコモド島に向かった、航路は吉川の神具のお陰でモンスターとの戦闘は幾度もあったが無事に進めた。
 そしてだ、コモド島に着くとすぐにだった。
 ジャングルの中に入っていった、ジャングルの中でも戦闘があったが二人とも術で戦いモンスター達を退けていった。
 そうして奥に奥にと進んでいくと。
 遂にだ、二人の目の前にその相手が出て来た。
 ジャングルの木々よりも高い巨体を持つ見事なビジリアングリーンの鱗に覆われたドラゴンだ、四本の足も尻尾も翼も首もしっかりとしている。
 紛れもなくグリーンドラゴンだ、そのドラゴンが二人に声をかけてきた。
「人、ただの人ではないな」
「わかるか」
「気が違う」
 並の人とはとだ、ドラゴンは吉川に答えた。
「それでだ」
「わかったか」
「よくな、星の者達か」
「そのこともわかったか」
「私は五万年生きたドラゴンだ」
 それ故にというのだ。
「その力はわかるな」
「だからだな」
「そうだ、それで星の者達が何をしに来た」
「実はだ」
 吉川はドラゴンに神託のことを話した、そのうえで彼に言うのだった。
「そえでこのジャングルにあるシナモンを欲しいのだ」
「この世界で最も美味いシナモンをだな」
「その為に来た」
 まさにというのだ。
「私達はな」
「わかった、しかしだ」
 ドラゴンは吉川に告げた。
「あのシナモンは私の宝の一つだ」
「だからか」
「そうおいそれとは渡せない」
 こう言うのだった。 
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