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許されない罪、救われる心

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35部分:第四話 岩清水健也その一


第四話 岩清水健也その一

                 第四話  岩清水健也
「これ美味しい」
「そうでしょ?」
 教室でだ。如月と弥生は向かい合って座っていた。そうしてそのうえで豆乳のアイスを食べていた。それは雪の様に白い奇麗なアイスであった。
「これ人気あるのよ」
「癖、ないわね」
 如月はそのアイスを食べながら述べた。
「本当に」
「豆乳だからね」
「豆乳だから癖がないのね」
「そうよ。それにね」
「それに?」
「身体にもいいのよ」
 弥生はにこりとして今度はこのことについて言ってきた。
「そちらもね」
「いいの」
「そう、いいの」
 そうだというのだ。
「身体にもね」
「ああ、豆乳だからね」
「お豆腐は身体にいいから。そうした意味でもね」
「このアイスっていいのね」
「そうよ。味だけじゃないの」
 弥生はこのことを強調する。
「だからね」
「いいのね」
「そういうこと。アイスだけじゃないし」
 ここでだった。弥生はこんなことも言ってきた。
「それだけじゃね」
「アイスの他にも売ってるの」
「クッキーとかもあるわよ」
 豆乳のクッキーだというのだ。
「他にもケーキとかタルトとかね」
「あれっ、そんなのも作られるの?」
「そうなのよ。何でもお店に嫁いできた若奥さんが元々お菓子屋さんの娘さんでね」
 そうした経緯だというのだ。
「それでなのよ」
「ふうん、そうなの」
「面白いでしょ、お豆腐とお菓子が一緒になるなんて」
「最初はびっくりしたけれど食べてみると」
 美味い。舌は嘘を吐かない。
「成程ねえ」
「どう?クッキーとかケーキも好きよね」
「うん、大好き」
 如月の好物である。女の子なら大抵そうだが彼女もお菓子好きなのだ。それもかなりである。おやつは欠かさない程である。
「じゃあそういったのも」
「買うといいわ。美味しいからね」
「うん、そうするわ」
「何度も言うけれど身体にもいいから」
「だから余計になのね」
「そう、いいのよ」
 豆腐について強く勧めるのだった。
「だからね」
「ううん、それにしてもね」
「やっぱり違和感あるのね」
「あるわね。お豆腐のお菓子なんて」
「しかもスイーツだしね」
「せめて和菓子だったら納得できたかも」
 自分でこう話す如月だった。話すその間も首を傾げさせ続けている。
「けれどね。スイーツだから」
「ちょっと・・・・・・なのね」
「世の中何が出来るかわからないわね」
「そういうものよ、世の中って」
「そうなのね」
「まあそれでだけれど」 
 弥生はいぶかしむ如月に対してだ。ここでさらに言ってきた。話の主導権は彼女が握っていることは間違いなかった。これはいつものことだ。
「皆で食べてね」
「このアイスも他のもね」
「そういうこと。いいわね」
「わかったわ」
 如月は弥生の今の言葉に頷いた。
「それじゃあね」
「そうしてね。じゃあ残り食べましょう」
「ええ」
 こんな話をしながら朝のその豆乳アイスを食べる。そしてそれから。如月は机を移ってだ。今度は長月達と四人でこのアイスやお菓子のことを話した。
 
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