DQ3 そして現実へ… (リュカ伝その2)
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カザーブ
<カザーブ>
「♪前も後ろも山ばっかー♪」
リュカが勝手な歌を歌いたくなる様な村…カザーブ。
リュカの歌通り四方を山で囲まれている。
アルル達は着いて早々、エコナの装備を揃える為、武器屋や道具屋をハシゴする。
「なぁなぁリュカはん!これなんてどう?ウチに似合う?」
「うーん…折角胸が大きいんだから、もっと胸を露出した服はどう?僕はそっちの方が好き」
「ほな…これは?」
休日のショッピングモールでキャッキャウフフとイチャつくバカップルの如く、リュカとエコナはショッピングを楽しんでいる。
それを恐ろしい形相で睨むアルルとハツキ。
更にウルフは女の扱い方の手本としてリュカの言動をメモしている。(大丈夫か?)
「早くしなさいよ!日が暮れちゃうでしょ!」
「ウチ等には気をつかわんでええよ…アルル達は先に宿へ戻ってて下さい。ウチ等はウチ等で勝手にやりますから」
「うん。自由行動ね」
そう言ってリュカとエコナは別の店に入って行く。
二人きりにしたくないアルルとハツキは、渋々ついて行く。
ウルフは…言うまでもない…
一通りの物を揃えたエコナは、リュカを伴い村の酒場でディナーデートを敢行する。
だがアルル達も一緒の為、どう見てもただの食事会である。
大して広くない店内には、若いカップルが先客として食事をしている。
5人はテーブル席に座る。
「ウチは取り敢えずビール!みんなは?」
ほぼ座ると同時にエコナは叫ぶ。
「私達は未成年です!お酒は飲みません」
「ウチかて18や!気にしたら負けやで。リュカはんは飲むやろ?」
「お酒嫌いだからいい!」
リュカは表情を渋らせ拒絶する。
「リュカはん、飲めへんの?」
「う~ん…飲めるけど、強くないし…良い思い出が無いから…」
「何や?そのヤな思いでって!酔って上司殴ったん?」
下世話な話に興味津々のエコナ。
エコナ程では無いが聞きたがっている他3人。
「うん…実はね…僕に初めての子供が産まれた日に、以前から準備されていたパーティーがあったんだ…しかも僕が主賓の…本当はパーティーなんて出たくなかったんだけど、出ない訳いかないじゃん。で、イヤイヤ出席して無理矢理酒飲まされて、気が付いたら気絶してて奥さんが魔族に攫われてた…」
リュカの話は続く…
身内に居た裏切り者の事、その後8年間の石像化、生まれたばかりの双子は8年間も両親が居なかった事…
孤児として育ったハツキとウルフ、そしてやはり孤児のエコナはリュカの子供に共感を覚え涙する。
アルルもリュカの人生の壮絶さに言葉も出ない…
「おいおい…泣くなよ…今はもう幸せだよ。みんな…」
「そか…子供は親と一緒に暮らすのが一番幸せや!」
「うん。そうね!早くバラモスを倒して、世界を平和にしないとね!」
「あの…すみません…」
アルルの言葉を聞いた隣席のカップル(女)が、不意に話しかけてきた。
「バラモスを倒すという事は…貴女達は勇者様ですか?」
「べ、便宜上は…」
たじろぐアルル。
「ではお願いがあります。ここより北に行った所にある『ノアニール』と言う村をお救い下さい!」
・
・
・
カップル(女)の説明では、10年程前から村人が皆眠ってしまう呪いにかかっているらしい。
何故呪いがかかっているのかは分からない様です。
カップル(女)は幼い時に父と共に村を出たが、弟が村で長き眠りについている…
「お願いします!どうか弟を…」
泣きじゃくりながら懇願するカップル(女)…
「わ、分かりました…ひとまず調査をしてみますから…」
辟易するアルル…
一行は逃げる様に宿屋へ戻り、作戦会議を始める。
「どうすんだよ。カンダタから金の冠を取り返す途中だろ!」
安請け合いをするアルルに、ウルフが不平を言う…
「分かってるけど…ほっとけないでしょ!」
「じゃぁ…どちらから先に行きますか?」
「そんなん簡単やん!寝ぼすけ共にはもう少し寝ててもらって、先にカンダタや!カンダタは遠くに逃げてしまう可能性もあるかもしれへん」
「じゃぁ決まりね!明日早朝にシャンパーニの塔を目指します」
話が決まった所でリュカが口を開く。
「どうして僕の部屋で作戦会議をしてるの?」
「だって…他の人の部屋じゃ、リュカさん会議に出席しないでしょ?『僕は決まった事に従うよ』って言って!」
「う~ん…そうだね。でも、僕が居たって会議に参加しなければ同じじゃない?」
「そんなことはないわ!後で説明するのは面倒なの。一緒に居れば説明を省けるでしょ!」
「なるほど!納得しました。…もう会議終了だよね。解散だよね」
「ええ…お疲れ様…」
「じゃぁ、僕…散歩してきます」
「ちょっと!明日は早いのよ!寝不足じゃ困るんだけど!」
「あはははは、大丈夫だよ!僕は戦わないから!寝不足OKでしょ!じゃぁね~」
各自が自分の部屋に戻る中、リュカだけが宿屋から外出して行く。
阻みたいが阻む手立てがないアルル…
恨めしそうにリュカの背中を見つめ、大きく溜息を吐く…
自分の部屋に呼ぶ事が出来れば、どんなに嬉しいかと…
翌早朝…
一向に起きてこないリュカとエコナを起こすべく、3人は二人の部屋に突入する。
リュカの部屋はもぬけの殻…
仕方なくエコナだけでも起こそうと、部屋を大きくノックして中に突入すると…
裸のエコナが裸のリュカに重なる様にして寝ているではないか!
「な…な…何してるんですか!!」
「やぁ…おはよう…もうちょっと静かにしようよ…周りに迷惑だよ」
「ホンマにねぇ~…もうちょい静かにしてほしいわぁ~」
この状況を見られても気にしない2人…
それどころか優雅に目覚めのキスをしてから仕度を始める2人…
「いいなぁ~…」
ハツキが小声で羨ましがる…
間違った道に進んでいる事に気付いてほしいものである…
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