許されない罪、救われる心
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25部分:第三話 歪んでいく心その三
第三話 歪んでいく心その三
「靴の中に画鋲入れるのもいいし」
「そうだな。それいいよな」
それにだ。最初に長月が頷いた。
「じゃあまずは鞄の中に残飯でも入れてやろうぜ」
「あっ、いいねそれ」
「腐った蜜柑とかね」
文月と霜月も笑顔で続く。
「それじゃあ。そういうのでいく?」
「これからは」
「暫くはね。二人に見つかったら本当にまずいから」
如月が気にしているのはそのことだった。とにかく見つからないことを意識しているのだ。それもかなり強く意識していた。
「それじゃあね」
「よし、じゃあそれでな」
長月がまた頷いてみせた。
「そういうのでいくか」
「うん、それじゃあ」
こうしてだった。四人はまた動いた。早速部活の時間の後だ。
「そんな・・・・・・」
「どうしたの?」
着替えを出そうと自分のロッカーの鞄を開けた神無が愕然とした時にだ。部長の若藤皐月が来て声をかけた。彼女も一緒に部屋にいたのだ。
「何かあったの?」
「鞄の中に」
沈んだ顔での言葉だった。
「生ゴミが」
「えっ、今度は鞄の中になの!?」
「はい・・・・・・」
こう皐月に話すのだった。
「ゴミが入れられてました」
「酷過ぎるわね」
皐月はそれを聞いて目を完全に怒らせた。
「それはまた」
「どうしたら」
「まずはゴミを捨てて」
怒ってはいたが冷静だった。すぐに落ち込んでいる神無に対して話す。
「そうして」
「ゴミをですか」
「そう、それで気になるようだったらアルコールかオキシドールで拭いて消毒してね」
こうしたことも言った。
「そうするといいわ」
「わかりました」
「問題はこんなことを誰がしたかよ」
皐月は腕を組んだ。そしてそのうえでまた言ったのだった。
「それだけれど」
「悪戯ですか?」
「ラクロス部にこんなことをする娘はいないし」
この時は彼女もこう思っていた。
「とてもね。他の部の人かしら」
「他の部ですか」
「女の子だけとは限らないわね」
皐月は話を決め付けなかった。しかもかなり広く考えていた。
「これはね」
「女の子だけとはですか」
「変質者は色々いるじゃない」
「変質者はですか」
「そうよ、色々いるわ」
こう神無に対して話す。
「だから。男の子が忍び込んでね」
「奏してこんなことをするんですか」
「あくまで可能性だけれどね。そういうケースもあるわ」
皐月は真剣に考えていた。自分のことではない。しかしそれでも自然と神無の立場に立ってそのうで考えていたのだ。彼女の為にである。
「本当に誰なのかしら」
「凄く怖いです」
「そうよね、こんな酷いことをする人間が何処かにいる」
「はい」
「それで椎葉さんにこんなことをする。それはね」
「何か教室でも起こってまして」
「クラスでもなのね」
それを聞いた皐月の目が動いた。
「そうなの」
「誰かが私を」
「できたら証拠とか欲しいけれど」
皐月はさらに行った。
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