おぢばにおかえり
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第四十八話 合格してその三十三
「宜しくね」
「はい、じゃあ後はですね」
「私は寮に戻るけれど阿波野君は」
「送りますよ、寮の入り口まで」
「いいわよ、それは」
私は阿波野君の今の申し出はすぐに断りました、西の礼拝堂の前で二人でお辞儀をしてから答えました。
「そこまでは」
「いいですか」
「ええ、それに寮の門まで一緒にいたら」
送ってくれるのは有り難いですが。
「完全に怪しまれるから」
「交際してるって」
「そうよ、ただでさえ凄く言われてるのに」
三年になってからです、阿波野君と毎日会っているせいで。
「年下キラーとか言われて」
「あっ、年下キラーですか」
「そうよ、正直ね」
かなりとです、私はまた言いました。
「困ってるから」
「だからですか」
「そう、本当にね」
このことはでした。
「困るから、気持ちだけね」
「そうですか、じゃあ詰所まで帰りましょう」
「何で詰所?」
「いえ、今日学校を出て最初に行ったじゃないですか」
だからだというのです。
「それでなんです」
「詰所に戻るの」
「そこでお別れしませんか?」
「詰所ならね」
私としてもでした、寮の前までとかもう絶対に怪しまれるからです。私と阿波野君が付き合っていると。
「いいわよ」
「それじゃあ」
「ええ、詰所に帰って」
そしてでした。
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