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戦国異伝供書

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第二十六話 検地と刀狩りその六

「これが」
「やはりそうか」
「まるで煙の様に消えて」 
 幕府が倒れたその時にというのだ。
「そうしてです」
「何もわからぬか」
「左様です」
「妙じゃ、まるでじゃ」
「あの津々木ですな」
「あの者の様ですな」
「そして浅井殿を惑わしていた者にじゃ」
 信長は久政と共に彼の傍にあった金箔を塗った髑髏を思い出した、その髑髏の得も言われぬ邪悪さを思い出しながら。
「闇の旗のな」
「本願寺の者達」
「あの者達ですな」
「そうじゃ、あの者達もそうでじゃ」
 それでというのだ。
「妙なことばかりであるのう」
「言われてみますと」
「確かにそうですな」
「あの者達にしてもそうですし」
「何かと」
「その妙なものの手掛かりはじゃ」 
 まさにというのだ。
「あの二人が持っておるやも知れぬ」
「だからですか」
「ここはですな」
「あの二人を何としても見つけ出し」
「そして捕らえてですな」
「そのうえでじゃ」
 さらにというのだ。
「全て聞き出せ、惨い責め苦はあまりしたくないが」
「それでもですな」
「あの者達については」
「特別じゃ、それも致し方ない」
 こう言うのだった。
「海老責めなりしてでもな」
「言わせますな」
「あの者達には」
「そうするが」
 しかしと言う信長だった。
「だが、だな」
「はい、何処に消えたのか」
「行方が掴めませぬ」
「忍の者達を出してもいますが」
「それでもです」
 玄以も増田も苦い顔で述べる、そして信長も言った。
「ではここはな」
「どうされますか」
「一体」
「飛騨者に十勇士を使うか」
 織田家もっと言えば天下最強の忍である彼等をというのだ。
「あの者達に探させるか」
「飛騨者に十勇士達を出しますか」
「そうされますか」
「そうするか、やはりな」
 そうしてというのだ。
「あの者達は探しだしてじゃ」
「何かと聞きたいですな」
「惨い責め苦を用いても」
「だからですな」
「まずは探しますか」
「そうするか」
 信長は考えて言った、そしてだった。
 実際に彼は都でいつも宿にしている本能寺に入るとすぐに近頃常に傍に置いている幸村に対して言った。
「十勇士達はおるな」
「はい」
 幸村はすぐに答えた。
「皆おります」
「よし、ではな」
「あの者達を使いますか」
「そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「以心崇伝と南光坊天海をじゃ」
「探し出してですか」
「捕えたい」 
 何としてもというのだ。
「そして何かと聞きだしたい」
「左様ですか、では」
「うむ、すぐにな」
「十勇士達にあの二人を探させますか」
「そしてじゃ」
 信長は幸村にさらに話した。 
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