戦国異伝供書
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第二十六話 検地と刀狩りその三
「進めていくぞ、あと銀はじゃ」
「出来るだけ外の国にはですな」
「出さぬ様にする、銀がなくてはな」
「銭の造りにも影響しますな」
「それでじゃ」
「銭は出来る限り出させぬ様にされますか」
「このままな、そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「外の国と商いをしていくぞ」
「明、そして南蛮とそうしていく」
「ではな」
こうした話をしてだった。
信長は天下統一の後の政も整っていた、そのうえで天下の政治を進めてってその中においてだった。
明智にはこう述べた。
「島津家に琉球は攻めさせぬ、しかしな」
「それでもですか」
「島津家は侍が多いが」
しかしというのだ。
「土地は痩せておるのう」
「薩摩、大隅は」
「ならば特例としてじゃ」
島津家に許すというのだ。
「琉球との商いを許す」
「あの国とですか」
「島津家だけがじゃ」
「本朝ではですか」
「あの国と商いが出来る様にする」
「その利で、ですか」
「国を養わさせる」
こう明智に話した。
「島津家に九州を与えぬが」
「薩摩、大隅だけですな」
「その二国だけにするが」
しかしというのだ。
「だがな」
「その二国だけでは」
「島津家は侍達を養えぬ」
多く抱える彼等をというのだ。
「兎角薩摩と大隅は貧しいというからな」
「あの二国は」
「お主も聞いておるな」
「桜島があります」
この火山がというのだ。
「あの山は常に噴火しているとか」
「それで灰が国に撒き散ってな」
「そうしてですな」
「土地は痩せておる」
「米が碌に採れぬとか」
丹羽はさらに言った。
「他の国とは違い」
「だからじゃ」
「あの二国は貧しく」
「それにしては多くの侍がおってな」
「極端に貧しいですな」
「だから何かと難儀がある」
それでというのだ。
「当家に不満も抱える」
「そしてよからぬ考えを抱かせぬ為にも」
「商いをさせてな」
そうしてというのだ。
「その分豊かになってもらいな」
「不満を抱かせぬ様にしますか」
「そうする、そしてじゃ」
さらに言う信長だった。
「砂糖も植えさせるか」
「砂糖もですか」
「そうじゃ、あれはかなりの利を生む」
「高いですからな」
「それも許すが」
しかしと言うのだった。
「そこから民を虐げさせることはな」
「許しませぬか」
「そのことは強く言ってな」
「目も向けてですな」
「させぬ、わしは民を虐げることは好かぬ」
これもまた信長の考えだ。
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