許されない罪、救われる心
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162部分:第十五話 許される心その三
第十五話 許される心その三
「何か食べるの久し振り」
「そういえばここってケーキも」
「美味しかったよね」
如月と弥生はこのことも話した。
「それにしてもよかったわね」
「ええ。今度はそれにする?」
「そうね。次にこのお店に来た時はね」
「それにしましょう」
「私はパフェだけれどね」
霜月が頼んだのはそれだった。
「ここの苺パフェって量も多いし。大好きなのよ」
「それ以上食ったらまたでかくなるぜ」
長月は彼女の長身について話した。
「それでもいいのかよ」
「パフェ食べて大きくなるの?」
「なるだろ。クリームに牛乳一杯入ってるからよ」
「そういうものなの」
「そうだよ。霜月って昔から牛乳好きだろ」
「ええ」
霜月は長月のその言葉に頷いた。それはその通りだった。
「もうパンの時はね。絶対にね」
「だからだよ。大きくなるんだよ」
「しかも霜月って」
文月もここで話してきた。
「あれよね。すらっとしてるし」
「すらっと?」
「スタイルいいし」
「それ昔から羨ましいと思ってたわ」
今言ったのは如月だった。
「背は高いしスタイルいいし」
「そうだったの」
「そんな風になりたいなって」
如月はこんなことも言った。
「今も思ってるわ」
「今もなの」
「私霜月みたいにすらりとしてないし」
まずは彼女のことだった。
「文月みたいに胸大きくないし」
「私もなの」
「長月みたいに脚奇麗じゃないし」
「そんなに奇麗か?」
「奇麗よ。私なんて何もないのよ」
困った顔での言葉だった。
「だからね。三人共それが羨ましくて」
「そんなの気にする必要ないわよ」
しかしだった。ここで彼女に言ってきたのは弥生だった。
「別にね」
「そうなの」
「そうよ。如月には如月のよさがあるし」
「具体的には何処が?」
聞かずにはいられずだ。本当に聞いたのだった。
「私いいのよ。何処がなのよ」
「笑顔よ」
それだと。口を尖らせている彼女に告げた弥生だった。
「それがね。いいのよ」
「笑顔なの」
「私如月のその笑顔大好きだから」
こう言ったのである。
「だからね」
「そうだったの」
「だからもっと笑ってね」
こうも言うのだった。
「いいわね」
「ええ」
如月は弥生のその言葉に頷いた。そうしてだった。
そのうえでだ。こう言うのだった。
「笑うわ、本当にね」
「笑えばね」
「笑えば?」
「幸せになれるから」
弥生はこのことも話したのだった。
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