許されない罪、救われる心
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160部分:第十五話 許される心その一
第十五話 許される心その一
第十五話 許される心
学校での一日が終わった。そしてだった。
下校の時にだ。弥生は如月に言ってきた。
「ねえ」
「うん」
「この後何処に行く?」
「何処って?」
「お腹空かない?」
こう如月に言うのであった。
「何かね」
「お腹が」
「何処かお店に行こう」
また如月に言った。
「お菓子でも食べよう」
「お菓子ね」
「ええ、お菓子よ」
微笑みを作っての言葉だった。
「どうするの?それで」
「それじゃあ」
如月は考える顔になってだ。そのうえで弥生に答えたのだった。
「行こう」
「ええ、行きましょう」
「長月達も呼ぶ?」
如月は携帯を取り出してまた弥生に問うた。
「あの娘達も」
「そうね」
弥生は優しい笑みで如月の言葉に応えた。今二人は校庭を歩いている。かつてはいつも一緒に歩いていたその校庭をである。
そこを歩いてだ。そのうえでだった。二人は話をするのだった。
「いいわね」
「お店は何処がいいかしら」
「マジックね」
弥生が言った。
「そこにしましょう」
「マジック。あそこに行くのも」
「久し振りよね」
「そうね」
如月も弥生のその言葉に頷いて同意した。
「本当にね」
「久し振りだけれど」
それでもだと言う弥生だった。
「いつも一緒に行ってたお店ね」
「あそこのマスターいい人だし」
「お菓子も美味しいしね」
「奥さんが作ったお菓子がね」
それがいいというのである。
「いいわよね。だからね」
「一緒にね」
「そうしよう」
こう話してだった。長月達も呼んでそのうえでマジックに入った。マジックはイギリス調の木造の店だった。天井の柱達が雰囲気を醸し出している。ダークブラウンのその木が非常に穏やかである。
テーブルや椅子、カウンターもだ。ダークブラウンの木で作られている。そうした中に入ってだ。二人は六人用の席に座った。
そしてだった。まずは弥生が言った。
「何を注文するの?」
「コーヒーは駄目かな」
「コーヒーね」
「ええ、それ」
如月はそれをだというのだった。
「駄目かしら」
「お腹大丈夫?」
弥生は彼女を気遣って尋ねた。
「コーヒーは強いから」
「多分」
如月の返答はあまり強くはないものだった。
「いけると思うけれど」
「止めた方がいいかもね」
だが、だった。弥生はこう如月に言うのだった。
「それはね」
「そうなの」
「紅茶の方がいいわね」
そちらだというのだった。
「あれはお腹に優しいから」
「そう。それじゃあ」
「それでスイーツはどうするの?」
弥生は今度はそれについて尋ねた。
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