クロスウォーズアドベンチャー
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第51話:現在の子供達
ホーリーストーンを守り通した大輔達はダークタワーを破壊しながら復興作業をしていたが…。
「この辺りのダークタワーは全て壊したな」
「うん、もう何処にもないよ。」
大輔の言葉にヒカリは辺りを見回しながら答えた。
「大輔、腹減ったよ」
「そうだな、そろそろおやつにするか」
「僕、沢山お萩を作ってもらいました!!」
「僕もドーナツを焼いてもらったんだ。」
「私はクッキー!!」
「パウンドケーキ…結構大量だな。食い切れるか?」
伊織はお萩、賢はドーナツ、ヒカリはクッキー、大輔はパウンドケーキを出す。
残りはコンビニのお菓子だ。
「作りすぎたお萩と焼き菓子達は葬らねばならない。俺の腹の中に…!!」
「私のお腹の中に~!!」
「一杯食べてね2人共」
お萩と焼き菓子達を虎視眈々と狙うブラックアグモンとなっちゃん。
それを見たヒカリが苦笑しながらお萩と焼き菓子を差し出すと一気にかぶりついた。
「頂きぃ!!」
「貴様!!それは俺のドーナツだぞ!!」
狙っていたドーナツを手にしたブイモンに向かって吠えるブラックアグモン。
「何だよ、全部同じだろ!!」
「ふざけるな、返せ!!」
ブイモンの手にあるドーナツを賭けて争うブイモンとブラックアグモン。
「すっかり馴染んじゃって…」
「あ~ん♪」
テイルモンが呆れたように呟き、ドーナツを口に放り込んだブイモンは満足そうな笑みを浮かべた。
「ぐっ!!己ぇ!!ならば!!」
ブラックアグモンは大輔の焼いたチョコパウンドケーキのみを口に放り込んだ。
「んなあああ!?ブラックアグモン、お前俺のチョコパウンドケーキを!!」
「貴様が先に俺のドーナツを食ったんだろうが!!」
「俺はあのチョコパウンドケーキを最後の楽しみにしてたんだー!!」
「食い物の恨みは恐ろしいと言うことだ!!身を持って味わうがいい!!」
「こんのおおおおお!!ブラックアグモン、勝負だああああ!!」
「望むところだ!!ここで貴様との決着を…」
「うるせえぞ!この馬鹿コンビ共!!」
「「ぐふう!!?」」
脳天に繰り出される拳骨にブイモンとブラックアグモンは同時に倒れた。
「何してるんだろうね?」
「仲良いんだか、悪いんだか…」
「普段は仲がいい癖にこんな下らないこと揉めるのよね」
パタモンとワームモンとテイルモンが倒れ伏すブイモンとブラックアグモンを見ながら呟く。
「頂きまーす」
倒れ伏すブイモンとブラックアグモンを無視してお萩をぱくりのなっちゃん。
「「ああ!?」」
一番大きいお萩を食べられたブイモンとブラックアグモンが思わず叫ぶ。
なっちゃんはお萩を美味しそうに頬張っている。
「なっちゃん、口にあんこが付いてるわ」
「ん~」
ヒカリがなっちゃんの口に付いたあんこを拭ってやる。
「そんなあああ…あのでかいの俺が狙っていたのにぃいいい…」
「くっ…思わぬ伏兵が…大輔!!ヒカリ!!貴様らはナツの教育がなっとらんぞ!!」
「「へ?」」
「貴様らはナツの親代わりだろう!!親代わりならば人の物の横取りは諫めるべきだろうが!!」
ブラックアグモンの言葉は確かに正しい。
正しいのだが…。
「これはお前だけの物じゃねえよ!!」
赤面しながらも拳骨がブラックアグモンに炸裂。
ブラックアグモンに再びたんこぶが出来上がった。
「ねえ、親代わりって何?」
「大輔とヒカリがあんたのお父さんお母さん代わりってことよ」
テイルモンがクッキーをかじりながら説明する。
「うーん…大輔がお父さんでヒカリがお母さん?…お父さん、お母さん?」
「「っ!!」」
なっちゃんの発言に更に赤面する2人。
それを見てからかいたくなったのかタケルがニヤニヤと笑いながら口を開いた。
「あれえ?返事がないよ大輔お父さんにヒカリお母さ…ぎゃあっ!?」
座っているから尻叩きは出来ないため、太股を思いっっっきり抓って黙らせた。
「タケルさん…学習しましょうよ。だからヒカリさんにまでマゾって呼ばれるんですよ」
隣で悶えるデジクロスパートナーを見下ろしながら呆れたように呟く。
「お父さんお母さーん♪」
「な、なっちゃん…恥ずかしいから止めて…」
抱き付くなっちゃんに赤面しながらもヒカリは満更でもなさそうな感じだ。
「ヒ、ヒカリちゃん…そんな顔してたら説得力が…」
「アカリさん・ドストライク!!」
かつてゼンジロウを悶絶させたアカリ直伝の捻りを加えた肘打ちがタケルの鳩尾に炸裂した。
「あひん!!?」
「タケル君の馬鹿!!みんなの前で恥ずかしいこと言わないでよ!!」
「ヒ、ヒカリちゃん…いつこんな技を…?」
「ああ、それアカリさんの必殺技か。ヒカリちゃん尊敬してたもんな。いつ継承したのか知らないけど」
「今のかなり強力な肘打ちだったけどタケル君、大丈夫?」
「む、無理…」
ピクピクしながら必死に答えるタケルである。
まさかヒカリからあのような強烈な肘打ちを喰らうことになるとは思わなかったため、無防備でアカリ・ドストライクを喰らってしまった。
「いい加減学習しなよ。毎回軽口を言っては大輔に尻を蹴られ、抓られ。ヒカリさんからアカリさん直伝の肘打ちを喰らって…正直マゾ扱いされて当然だと思うよ?」
流石に呆れて物が言えないと言いたいのが賢の顔に出ている。
「まさか君から哀れみの視線を受ける日が来るとはね…うん、僕軽口言うの止める。」
「実現出来ればいいわねえ~」
「…何時まで経ってもパニクる悪癖を治せない京さんだけには言われたくない気がする」
「同感ですね」
「何ですってえ!?」
京のからかい混じりの言葉にタケルは思わず呟き、伊織も頷いた。
「あんた達ねえ!!私の辞書に“失敗”の文字は存在しないのよ!!」
「ついでに“反省”の文字もありませんね。他にも色々と、京さんの脳内辞書に刻んだ方がいいですよ」
「…ムカつく」
京の反論も伊織にあっさりと切り捨てられ、京はムスッと頬を膨らませた。
とにかくこの辺りのダークタワーは全て破壊したため、今日はこれで終わりになるのであった。
「ふう…」
「今日は大変だったなヒカリちゃん。ブイモンとブラックアグモンが喧嘩したり、なっちゃんがふざけたりで」
「でもブラックアグモンに関して良い傾向だよね。お菓子で喧嘩するなんて。」
「本当に…人もデジモンも変わるよなあ…」
あのブラックウォーグレイモンが仲間になってこんな下らない喧嘩をする仲になるなんて思わなかった。
「ふふ…そうだね…アカリさん…元気にしてるかなあ?」
「大丈夫だってヒカリちゃん。アカリさんならきっと、タイキさんを尻に敷きつつ仲良くやってるさ。今頃、タイキさんの夢に付き合ってる最中さ」
大輔とヒカリは笑いながら空を見上げたのであった。
「そう言えばそろそろ12月だな…12月と言えばクリスマスだよな代表的なの。ケーキとかご馳走とか…あいつらマジでどうしようか?」
「いっそのこと話しちゃえば?」
「それも1つの手だよなあ、いざとなったらなっちゃんの魔法で記憶を…」
「う、うーん…」
それは大問題な行為だと思うが、デジモンを見て大パニックを起こすようならそれも1つの手かもしれないとヒカリは思うことにした。
「まあ、クリスマスよりもっと重大なことが12月にはあるんだけどな」
「え?」
クリスマスよりも重大なことが12月にある?
疑問符を浮かべまくるヒカリに大輔は苦笑した。
「12月16日…ヒカリちゃんの誕生日だろ?」
「あ」
色々あってすっかり忘れていたヒカリ。
それを見た大輔は思わず苦笑してしまった。
「やっぱりヒカリちゃんは覚えてなかったか。」
「あ…う…その、だって色々あったし!!」
「ああ、分かってるよ。だからこの前の冒険は誕生日祝うなんて出来なかったし、今回は絶対に祝ってあげたいんだ。プレゼントは何か欲しいのない?出来るだけヒカリちゃんのリクエストに応えるから」
「う、ゔーん…少し考えさせて下さい…」
「後残りの期間は23日…3日前に何が欲しいか決めてくれよ?」
「はーい、頑張ります」
12月16日の3日前までに何か欲しい物を考えなければならない…ある意味戦いよりも難しい大問題であった。
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