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許されない罪、救われる心

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144部分:第十三話 贖罪その七


第十三話 贖罪その七

「それじゃあ今から」
「許してもらえないだろうけれど」
「けれどそれでも」
「行こう」
 そして三人もだった。
「酷いことしてきたから」
「だから」
「行かないといけないよね」
 三人もこの結論に至っていた。
「やっぱり」
「それは」
「うん」
「私も行くから」
 弥生はここでも四人に言った。
「だからね」
「ええ、有り難う」
「それじゃあ」
 こうしてだった。四人は弥生と共に神無の家に向かった。彼女の家の場所は弥生が知っていた。そしてその案内を受けるとだった。
 一軒家だった。白い欧風の家である。如月達はここに来たのだ。
 その玄関も白い。そこに来てだった。弥生が彼女達に問うた。
「いいわよね」
「ええ」
「いいわ」 
 これが彼女達の返事だった。
「もうね」
「何時でも」
「それじゃあ呼ぶわね」
 弥生は四人に顔を向けながら話した。
「今から」
「いよいよね」
「そうね」
 四人は顔を見合わせて話し合った。
「それじゃあ」
「今から」 
 そうしてだった。弥生がチャイムを鳴らす。すると家の扉が開いてそこからだった。普段着の、パーカーとジーンズの神無が出て来た。
 彼女はまず弥生に気付いた。そこでは笑顔になった。
 だが四人を見るとだ。その笑顔が急に消えてだ。暗い顔になった。
 そしてその暗くなった顔でだ。言うのだった。
「あの、これって」
「あのね」
 その弥生が彼女に言う。
「この娘達だけれど」
「何で来たの?」
 声が震えていた。怯えが見られた。
「何でここに来たの?」
「話したいことがあるから」
 それでだというのだった。
「それでなの」
「話って?」
「うん、椎葉さんにね」
「私になの」
「そう、いいかしら」
 こう神無に問う。
「それで」
「何もしないわよね」
「大丈夫よ」
 弥生はこのことを保障した。
「いえ、もう絶対にしないから」
「絶対になのね」
「そうよ、絶対にね」
 しないというのである。このことを保障したのだ。
「それはないから」
「そうなの」
「椎葉さんと同じ思いをしたから」
 しないその理由も話した。
「だから」
「あのことね」
「そう、だからね」
「わかったわ」
 神無は俯いてしまっていた。だがそれでも言った。
 
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