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社会人共がクトゥルフやった時のリプレイ

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クロノスを喰らうもの
  Part.2

 古美門達よりも少し時間が経って今は午前10時、えーあなたは警視庁でも特殊な任務に就く凄腕刑事です。
 そんなあなたがいつものように仕事をしていますと、あなたの上司にあたる人物から声をかけられます。

「京楽くん、ちょっといいかな」

「んー? あーはいはい。おつかれさまぁ。どうかしたんだい?」

「君にはとある組織の調査をやってもらいたいんだ」

「はいはい。んで、その組織ってどんな組織なの?」

「……思ったのだがね」

「なんだい?」

「私は君の上司だよ? 上司なんだよ?」

「知ってるよぉ?」

「その……敬語とか、態度とか、ね?」

「まあまあ、そんな堅いことは気にしなさんな。一緒に酒を飲む仲じゃないの」

「……まあいい。話を戻すぞ。今回君に調査して欲しいのはここだ」

 と言って上司はあなたに1枚のチラシを差し出します。

「受け取って見る。なんのチラシかな?」

 NPO法人【クロノスの光】のチラシですね。

「チラシからわかることは?」

 【クロノスの光】の住所と連絡先、責任者名、そして『未来のために今を生きる子供たちのために』というキャッチコピーが書かれていますね。

「もっと詳しく知りたい。どれ、《知識》で振ってみようかね。もしかしたらテレビやらなんやら、はたまたよからぬ噂話が流れているのかで知っているかをチェックする」

 京楽 《知識》90 → 63 成功

 では京楽は【クロノスの光】について一般常識の範囲で知っていました。
 【クロノスの光】は教育機会の均等化・教育に関する所得格差の根絶を唱え、恵まれない子どもたちに高等教育を提供するNPO法人のことです。貧困層ながら【クロノスの光】で勉学を修め、大学で博士号を取得するまでに至った子供の話がノンフィクション番組で取り上げられたことが記憶に新しいです。

「ああ、多分ボクはその番組を見ていたんだね。なんかマズい噂とかあるのかな?」

 京楽の知る限りはないですね。

「そうかい。じゃあロールプレイに戻ろう。【クロノスの光】かい。最近テレビにも取り上げられたNPO法人じゃないの。ここがどうかしたのかい?」

「先日奥多摩の山中で小学生の首吊り死体が上がったろう?」

「こう聞かれているってことはボクも知っているんだね。普通にニュースを見ていたら知ることができる情報かい?」

 はい。ただし首吊りのことは伏せられ、事件性はなく自殺であると報道されています。

「ということはボク以外のPCたちも知っている可能性があるということだね。続けよう。ああ、本当嫌になりますよねぇ。まだ小学生の子供が……。で、それとこの団体がどう関係しているんだい?」

「それがな。亡くなった児童が通っていた学校がここ、【クロノスの光】が経営する学校だったんだよ」

「……ほう」

「君には死亡した児童の交友関係と、【クロノスの光】そのものについて調べてほしいんだ」

「自殺じゃなかったのかい? ボクはその件に関わっていないから詳しくは知らないけど」

「報道には自殺と発表したが、他殺の可能性も実はあるんだ。ここだけの話。私たちは【クロノスの光】が何かヤバいものに関わっていると睨んでいる」

「その根拠は?」

「後で資料を送るからそれに目を通してくれ。そうしたら君もわかるはずだ。この事件の不審なところにな。資料に書かれていないことで気になることがあったらいつでも連絡をよこしてくれ。私の知っている範囲ならすぐに答えるし、そうでなければ私たちも調べよう」

「ふーん。いいよ、やろうか。すぐに資料を手配して欲しい」

「わかった。気を付けるんだぞ」

 というわけで京楽のシーンはお終いです。


     ――――・――――・――――・――――


 チーム古美門のシーンに移りましょう。3人はどうしますか?

「【ぬくもりハウス】について調べるぞ。まずはパソコンだ。ホームページくらいあるだろ?」

 ありますね。でも特にこれといった情報はありません。どこにでもある児童養護施設と同じようなホームページですね。

「じゃあ内容は確認しなくていい。住所と電話番号だけ頭に叩き込む。【ぬくもりハウス】に出発だ。遊星を呼ぶぞ。電話をかける」

「電話に出よう。古美門か。どうした? 仕事か?」

「そうだ仕事だ車を出せ」

「了解。10分持っていてくれ」

「よし。遊星が来るまで待つぞ」

 じゃあ10分後。

「ようやく俺の登場か。インターホンを鳴らす」

「きっかり10分。遊星だな。私が直々出よう。ガチャ。やあ遊星くん待っていたよ」

「久しぶりの仕事だ。どこに行く?」

「埼玉県の所沢だ。【ぬくもりハウス】という児童養護施設に向かう」

「それはまた……微妙に遠い距離だな。車で1時間といったところか」

「だから君に来てもらったんだ。いざとなったら調査協力もしてもらうぞ。金は弾む」

「毎度ありだ」

「で? そういえば遊星くん、どんな車で来たんだ?」

「新型のトヨタセンチュリーだ。しかもギリギリ合法な改造を色々して凄いことになっているぞ」

「素晴らしい。私に相応しい車だ。十六夜さん、星熊くん、行くぞ。私は後部座席右側に座る」

「遊星さん、こんにちは」

「ああ咲夜。どこに座る?」

「私は助手席に座りましょう。あ、GM。私はファイティングナイフを6本持っていきます」

 《隠す》で判定してください。

 咲夜 《隠す》60 → 09 成功

 では上手く隠せました。

「これで戦えますね」

「あたしも拳銃を持っていこうか。ただ《隠す》を取っていないから、こちらで上手く隠すとしよう。足首にあるホルダー内に入れる。スーツを着ているから見えない。《隠す》を使わくてもいいよな?」

 具体的に説明して頂けたのでいいですよ。

「よし。じゃあ私は古美門の隣だ。よう、遊星。久しぶりだな」

「そうだな勇儀。久々の仕事だ。俺にできることならほとんどなんでもするぞ。みんな乗ったな。じゃあ俺も車に乗る。出発だ」

 では1時間かけて、あなたたちは埼玉県所沢市にある児童保育施設、【ぬくもりハウス】に到着しました。

「車を【ぬくもりハウス】の門の前に停めよう」

「車の中から【ぬくもりハウス】の敷地内を見渡す。【ぬくもりハウス】は今どんな感じだ? なにか目に見えて分かるほどの異変はあるか? 《目星》は必要か? 必要なら使わない範囲でわかることを教えろ」

 《目星》は必要ありません。普通に見渡してみたところ特に変わった様子はありませんね。住宅街から少し離れたところにあるそこそこ大きい施設の中からは児童たちの楽しそうな声が聞こえてきます。

「なら《聞き耳》かねい? 普通に楽しそうな声かい? それとも何かヤバい感じの、完全に薬をキメてしまっている感じの声かい?」

 普通に年相応の遊びをして楽しんでいる声ですね。追いかけっことかだるまさんが転んだをしているとか。
 というかあなたたちは門の前にいるんですよね? だったら車から降りて普通に敷地内を覗けばどうです? 子供たちが楽しそうに遊んでいる光景が見ることができますよ?

「《目星》や《聞き耳》をするまでもなく、この施設は大丈夫そうですね」

「よし、【ぬくもりハウス】に入ろう。遊星くん、君は待っていてくれたまえ。いざとなったらすぐに逃げられるように。あとは入り口から誰かでてこないかの監視だ」

「わかった。いつでも出せるようにしておこう」

「あたしは古美門についていく。用心棒だからな」

「私もついていきます」

「よし。じゃあ施設内に乗り込むぞ」

 ではあなたたち3人が【ぬくもりハウス】の敷地内に入りますと、楽しそうに遊んでいた子供たちはあなた達を見るなり不思議そうに首を傾げています。

「ああ。大の大人3人が入ってきたらそうなるな。車の中にいる俺はともかく、おまえらは色々と濃い面子だしな。そういえばおまえたちはどんな格好をしているんだ? 俺は原作遊星の私服に白衣を着ている」

「私はスーツだ。ダル・ク○ーレの一張羅だ」

「私もスーツだ。サングラスもしている」

「私はメイド服です。主にナイフを隠せるように改造されています」

「みんな濃すぎだろう!」

「いや原作遊星の恰好をしている上に白衣着ているおまえもなかなかに濃ゆいぞ」

「というか勇儀さん、あなたはサングラスかけているのですか?」

「目つきが悪いからな。誤魔化しているんだ」

「悪化しているような気がするがまあいい。私たちはこのまま堂々と施設に向かおうではないか」

 ではそんな怪しさ満点のあなたたちが施設に向かって歩いていますと、子供たちと遊んでいたひとりの施設の職員女性が話しかけてきます。あなたたちが確認できる限りでは一番年を取っている印象の女性です。と言っても30代前半くらいの見た目ですが。

「えっと。あなたたちは……」

「おっと失礼。我々はこういうものです。名刺を胸ポケットから取り出して職員女性に渡す。GM、私の《信用》は80ある」

 はい。存じ上げています。

「つまり私は世間に知られている探偵であり、そこそこの知名度を持っているということだ。《信用》に成功したら職員からのある程度の信用を獲得させてくれ。加えて《APP》ロールだ。《APP》15のイケメン力はフルに活用しないとな」

 許可します。《信用》と《APP》でどうぞ。判定結果次第で女性職員の態度が変わります。

 古美門《信用》80 → 32 成功
 古美門《APP》75 → 60 成功

「探偵……ああっ、あの古美門研介ですか!? 名探偵の!?」

「私のことをご存知とはあなたは男を見る目があるようだ。どうもはじめまして、私が探偵の古美門研介です」←APP15イケメンスマイル

「本物だ……。あ、ではそちらの方たちは……」

「用心棒だ」

「メイドです」

「答えになっていそうでなっていないような気がしますがいいです。そ、それで、あの名探偵がどうしてこのようなところに?」

「よし。両方成功で脈絡するのに手古摺らずに済んだな。十六夜さん、写真を」

「はい。理人くんの写真を表示してスマホを先生に渡します」

「スマホを受け取りつつ職員と話を続ける。私たちはとある人間を探しています。と、そうです。この少年に見覚えはありませんか? と写真を職員に見せる」

「んー(コロコロ)……ん!? も、もしかして理人くんですか!? 秋口理人くん!?」

「ご存知でしたか」

「ええ。私がここに来たときに丁度入ってきた男の子ですから、よく覚えていますよ。顔もあんまり変わっていませんし、この特徴的なツンツン頭……ふふ、あのときといっしょだ」

「最近、理人くんから連絡は来ませんでしたか?」

「ええ。何か月か前に1回だけ電話がありましたね。……あの、理人くんの身に何かあったのですか?」

「いえ彼の身にはなにも。ただ彼が私を雇った依頼人でしてね。リコ、という少女を探しているのです」

「ああ、理子ちゃんですか。電話でも言ってました。理子ちゃんはいないかって? お姉ちゃんのように慕っていましたからね理人くん。多分思春期になって、会いたくなったんでしょうね。……少し話が長くなりそうですし、こちらへどうぞ」

 と言って職員女性はあなたたちを案内しようとします。

「私は施設に乗り込む。立ち話なぞまっぴらごめんだ。職員女性についていくぞ」

「古美門が行くならあたしもついていくぞ」

「私も行きます」

「俺は車で待機し続ける。見張りを続けよう」

 では遊星を除いた3人は職員女性に連れられて【ぬくもりハウス】内に案内されます。
 【ぬくもりハウス】はどこにでもあるような養護施設と同じような作りになっており、特に変わった様子はありません。すれ違いざまに出会った職員たちも子供たちも、温かな笑顔を浮かべて挨拶してきます。
 しかし数いる子供たちの中には、顔や脚、腕などに何かで焼き付けられたような跡や、具合からして古い傷が目立つ子供もいました。

「歩きながら女性職員に小さな声で話しましょう。あの、子供たちの傷は一体……」

「……ここにいる子供たちは、みんなここに預けられているわけじゃないんです。みんな、捨てられたり、逃げてきたりして、ここに来たんです。みんな両親から酷い虐待を受けたり、邪魔者扱いされて虐げられたり……理人くんも理子ちゃんもそういう子供でした」

「そうでしたか……。申し訳ありませんが、詳しくお聞かせ願いますか?」

「はい。理人くんは『赤ちゃんポスト』に捨てられた天涯孤独の孤児。理子ちゃんは両親のみならず学校でもいじめを受けていて……顔だけじゃなく身体中至る所に酷い傷跡が残っていました」

「2人とも訳有りの子供だったんですなぁ。親による子供虐待は日本のみならず世界中で注目されている社会問題だ。こんなことを言ってはなんですが、そう珍しいことではない」

「それもそうですね。ですが容認できる問題ではありません。理人くんはまだしも理子ちゃんは虐待のせいで心にも深い傷を負ってしまって……と、すみません。長くなってしまいました」

「いえいえ、そんな。こちらこそ辛いことを思い出させてしまって申し訳ありません」

「本当に辛いのは私ではなく、理人くんや理子ちゃんのような子供たちですから。着きました。こちらです」

 と言って職員女性は『応接室』と書かれた部屋のドアを開けます。

「入ろう。GM、テーブルと椅子はあるな?」

 部屋の中央にテーブルがありますね。椅子は4つあります。

「では私は一番入り口に近い椅子に座ろう」

「私は先生の隣に座ります」

「あたしは部屋の隅っこに腕を組んで立っていようかねい。ここは大丈夫そうだが念のためにな。いざというときに戦闘準備さ」

 では数分経ちまして、あなたたちを案内した女性がお茶と1冊の分厚い本を持って戻ってきました。

「お待たせいたしました。えっと……あなたは座らなくてよろしいのですか?」

「うん? ああ、あたしは座らなくて大丈夫だよ。でもせっかくお茶を入れてもらったんだし、頂こうかねい。行儀が悪くてすまないねい。何分性分なもんでさ」

「あはは、大丈夫ですよ。零さないように気を付けてくださいね」

「ああ。気を付けよう。お茶を受け取って飲む。確認するが、古美門も咲夜もお茶に口は付けてないよな?」

「私は付けていない」

「私も付けていませんね」

「じゃああたしが最初だな。飲んでみた感じどうだい? なにか身体に異変はあるかい?」

 ないです。普通においしい紅茶だなぁ、と思うことでしょう。

「よし」

 さて毒見チェックをしてもらったことですし、お茶を置き終えた女性は古美門の前の椅子に座って分厚い本を捲ります。どうやらアルバムのようですね。
 女性は何かを探すようにアルバムのページを捲ると、ある1ページで手を止め、そこから1枚の写真を取り出してあなたたちに見せます。

「どんな写真だ?」

 1人の少年と少女を中心に、他の子供たちが楽しそうに遊んでいる写真です。
 中心になっている男の子の顔に、あなたたちは見覚えがあります。今でこそ成長して子供っぽさが減りましたが、三白眼と特徴的なツンツンした髪の毛から、この少年が依頼人である秋口理人くんであることがわかります。

「この写真。ここに写っているのが理人くん、そしてこっちの子が理子ちゃんです」

 女性が指差したのは、中心に写っている理人くんよりも年上らしき少女。
 薄く綺麗に笑っている本来ならばAPPが16相当の美少女ですが、その美しい顔の左半分が痛々しい火傷傷に覆われてしまっています。

「この子が理子ちゃんか。なぜこのような……事故かなんかですか?」

「事故なんてとんでもありません。……この傷は両親の虐待によるものですよ」

「……これは酷いな。根性焼きとかそんなレベルじゃない。流石の古美門も言葉を失うぞ」

「この傷のせいで理子ちゃんは学校でもいじめを受けて……本当、どうしてこんなに可愛くていい子が……。この写真が最初この施設にやってきたときの理子ちゃんです」

 さらに1枚の写真をあなたたちに見せてきます。
 顔半分がやけど傷に覆われた少女のその瞳に光はなく、まるで人形のような無表情です。

「ここに来たときにはもう目が虚ろで、喋りかけても薄い反応を示すだけで声も出すことができなくなってしまって……。でも! 理子ちゃん、理人くんや他の子供たちと触れ合っていく中でちょっとずつですけど、感情を取り戻すことができるようになっていたんです。ここを出て行くときにはちゃんと、笑えるようにもなっていました……」

「そうでしたか……それで、理子ちゃんを引き取った里親の住所と連絡先は?」

「はい。それが随分前に引っ越しをしてしまったらしく、今はどこにいるのかもわかりません。連絡先も変えてしまったらしくて、連絡も付かないのです」

「念のためにその連絡先と住所を教えてください」

「わかりました」

 あなたたちは理子を引き取った里親の住所と連絡先を入手しました。

「ありがとうございます。ちなみに里親の名前は?」

「祟道夫婦です。たしか叡史さんと智代さん……だったはずです。中年の夫婦でした」

「祟道夫婦、ですか」

 おおっと、その名前を聞いた古美門は《知識》で判定を。

「む?」

 古美門《知識》90 → 66 成功

 では古美門は『祟道智代』の名前に心当たりがあります。
 祟道智代は現都議会議員であり、NPO法人【クロノスの光】の代表を務める女性です。

「成程、新聞やらなんやらを日常的に読んでいる探偵の私なら知っていてもおかしくない内容だな。一般知識の範囲内の情報だけだとそれが限界か。あとで調べないとな」

「ここで【クロノスの光】が出てきたか。ボクの方と繋がったねえ」

「【クロノスの光】について私は知っているか?」

 祟道智代のことを知っていますから、【クロノスの光】についても知っています。

「よし、ロールプレイに戻ろう。……祟道智代だと?」

「? 心当たりがあるんですか、先生」

「現職の都議会議員だ。同時に【クロノスの光】とかいうNPO法人の代表も務める大物だ」

 咲夜 《知識》60 → 64 失敗
 勇儀 《知識》70 → 83 失敗

「【クロノスの光】、ですか?」

「恵まれない子供たちに高等教育を提供するNPO法人だ。最近テレビでやっていたろう? 貧乏ながら【クロノスの光】で教育を受けた結果、大学で博士号を取得したという子供の話が」

 咲夜 《アイデア》80 → 69 成功
 勇儀 《アイデア》55 → 22 成功

「……ああ。そういえばそんな話がありましたね。というか凄い人が里親だったんですね。職員さんは知らなかったんですか?」

「は、はい。全くそんなことは……」

「理子ちゃんがここから出て行ったのは何年前ですか?」

「確か理人くんが引き取られて数年経ったくらいですから……3年前くらいですか」

「そうですか。よし、これだけの情報が集まればもうここに用はないか。ご協力ありがとうございました、と頭を下げて私は車に戻る」

 では職員女性も頭を下げて挨拶をしてきます。

「あたしも古美門の後に続くかねい」

「私も車に行きます。……あ。写真、貰っていってもいいですか? この、理人くんたちと笑顔を浮かべている写真です」

(お、今回は咲夜がいい仕事をするな)。

「ええ。それくらいなら大丈夫です。持って行って構いませんよ」

「では拝借しましょう」

「車まで無事に戻れるか?」

 無事に戻れますよ。というか今ですから言いますが、ここは本当に怪しい物とか怪しい人物とかはいませんよ。

「だろうねい。普通にロールプレイに徹すれば特にダイスを振る必要なかったし、多分祟道智代の情報もパソコン使えば一発だったろうしねい」

「じゃあ遊星の待つ車まで戻ってきたぞ。待たせたな遊星くん」

「戻ったかみんな。GM、怪しい人物は施設から出てきたか? それとも怪しい人物がこの施設を見ていたり、周囲を警戒していたりしていたか?」

 どちらもないです。

「遊星、おまえパソコン持っていたよな?」

「ああ。常時携帯している」

「よし。だったら早速【クロノスの光】について調べるぞ」

 はーい。では丁度いいところですので今度は京楽のシーンに行きまーす。

「お、ようやくボクのシーンかぁ。ボクだけ単独だから暇だったんだよねえ」




     ――To be continued… 
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