クロスウォーズアドベンチャー
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第16話:奇跡を起こせ
強制デジクロスによってシェイドモンがネネの体に吸い込まれ、融合していく。
「あっ…天野…ネネ…!!君という…君という女はっ…!!」
キリハは落下したことにより怪我をしたのか、頭から血を流しながらも何とか立ち上がる。
「キ…リハ…君…?はっ…離れ…て…!わっ、私…!もうすぐ…本物…の…!魔女にっ…!!」
「魔女などではないっ!!この涙は…気高い真の淑女の涙だっ…!!騎士の流す血と引き換える価値があるっ…!!必ず…君を取り戻す!!この俺の全ての誇りを賭けるっ…!!」
「……不思議な人ね…あなたは…」
とうとう限界が来たのかネネは意識を失い、次に目を開けた時、それはネネではなかった。
「っ!!」
「触れるな下郎っ!!」
「ぐうっ!!」
ネネに弾き飛ばされたキリハを咄嗟にタイキが受け止めた。
「…お見苦しい姿で御前に立つことをお許し下さい殿下…」
「っ!シェイドモンか…!!?」
「はっ…!!」
「(ばっ…馬鹿なっ…!?人間と…デジモンがデジクロスするなど…!!い…いや…このデジタルワールドにあっては人間もまたデータの塊…!!人とデジモンが融合することによって新たな力が齎されたという伝説もないわけではない…!!そ…それに、シェイドモンとネネはあの時まだ影に取り憑くという形で半ば融合状態だった…そのことがネネのXローダーに強制デジクロスに近い力を与えたのか…?)っ!Xローダーは…!?」
「これに…」
シェイドモンの掌にあるのは変化したネネのXローダーであった。
「(変化しているっ…!!古文書にあったダークネスローダーに違いあるまい…)…ネネと分離することは?」
「…出来ませぬ。強制デジクロスの力が影響しているのやも…」
「…だろうな…(だが意識はシェイドモンが支配している…人とデジモンの意識の有り様の違いがどう作用したか分からぬが…その点はネネのアテが外れたわけか…何というイレギュラー…!!状況が錯綜し過ぎている…!この状態を解析し、2人を分離させることは不可能に近いだろう…幾百年待ち続けた千載一遇のチャンスが…っ!!?)」
「大輔君…ダークナイトモンの様子が…」
「もしかしたら、ダークネスローダーに異常が起きたのかもな」
大輔達からすれば、コトネではなくネネがシェイドモンと同化したというくらいの認識しかない。
ダークナイトモンは顔を上げ、シェイドモンに指示を出す。
「シェイドモンよ…」
「はっ!」
「試してみねばなるまい。ダークネスローダー…完全とは言わなくてもある程度の力は発揮するはず…」
「御意!ダークナイトモン…!ダスクモン!!」
シェイドモンは強制デジクロスの対象をダークナイトモンとダスクモンに。
「!?でっ…殿下…!?」
「…強制デジクロス…!!!」
「おっ、お待ちをっ…!!わ…私は殿下の腹心として長らく…っ、ウオオオオオオオオ!!?」
ダスクモンの意志を無視して、ダスクモンはダークナイトモンに取り込まれ、リリスモンとの戦いで失った左腕の代わりとなる。
「…ふむ…」
「あ、あの野郎…自分の仲間さえ…」
サジタリモンSMが不愉快そうにダークナイトモンを見つめる。
そしてダークナイトモンは左腕となったダスクモンを見つめ、今の状態を確認した。
「(9割方、私が支配出来ているが…僅かながらダスクモンの意識が生きているのを感じる…)」
ダスクモンであった左腕は、ダークナイトモンの意志とは関係なく小刻みに震えている。
「(完全に同化させるにはある程度時間が必要だろう…。三元士クラスのデジモンを一方的に取り込むことは出来まい…寧ろ私の方が取り込まれる危険が大きい…!!)」
恐らく実力差がありすぎる相手に不完全な強制デジクロスでは例えベースがダークナイトモンであろうとも逆に意志を抑えつけられ、取り込まれる可能性があるのだろう。
「(天野…ネネ…!!道化風情がよくも…よくもやってくれたものだ…!!……いや……彼女だけでない…この不愉快な茶番劇はこいつら全員で引き起こした物と言えるだろう…この高貴なる私の計画をこんな…こんなゴミ虫共がっ…!!)おっ…の…れえええエエエエエエェェェエエ!!」
永きに渡って企ててきた計画を妨害されたダークナイトモンの怒りが爆発する。
「シェイドモン!ツワーモン!!この城を破棄するっ!!これよりは流浪の身となり、力を蓄え、再起を図ることとなろう…!だがその前に!!この忌まわしき柵(しがらみ)を今ここで清算するっ!!」
「ほざけ!清算されるのはどちらの方か思い知らせてやる!!」
「ここまで来てホイホイ逃がすと思ってんのか!?」
「オニスモンはもういない!!ご自慢の最高戦力も逃げ場もないぜダークナイトモン!!」
メタルグレイモン、シャウトモン、サジタリモンSMが叫ぶ。
「黙れぇ!!出でよデビドラモン!!」
ダークナイトモンが叫ぶと複眼の竜型デジモンが現れ、ダークナイトモンの隣に降り立った。
「デビドラモンか…それくらいで俺達を止められると…」
大輔の言葉を遮るようにシェイドモンはダークネスローダーを構えた。
「モノクロモン、カブテリモン。強制デジクロス!!」
「!?」
「な…何をするつもりだ…?」
「ガルルモン、スカルグレイモン。強制デジクロス!!クワガーモン、エアドラモン強制デジクロス!!メタルティラノモン、メガドラモン。強制デジクロス!!アンドロモン、メタルマメモン強制デジクロス!!デジクロス!!デジクロス!!デジクロス!!」
デジクロスを繰り返して現れたのは、大輔達がやっとの思いで倒したキメラモンと、3年前に太一達が倒したムゲンドラモンであった。
「キ、キメラモン!?」
「ムゲンドラモン!?」
賢とヒカリが目を見開いてキメラモンとムゲンドラモンを見つめるが…。
「キメラモン!!ムゲンドラモン!!」
「お、おい…まさか…」
「強制デジクロス…!!」
キメラモンとムゲンドラモンを強制デジクロスしたことで今まで見たことがない程に醜悪で強大なデジモンが誕生した。
「ミレニア…モン…!?」
脳裏に浮かんだ名前を口にする賢。
あのデジモン…何故か見覚えがあるような気がするのだ。
「フハハハハハハハハ!!見たまえ!!何という醜い姿だ!!古のデジタルワールドを暴虐の元に支配したと言われるミレニアモンの再来だよ!!尤も…これだけ多くの意識が混濁しているのだ。狡猾な知恵者だったと伝えられる嘗てのミレニアモンとは違い…そいつは狂気のままに食らい破壊するだけの正に獣だがね…!!君達の夢も!!理想も!!誇りも!!信念も…!!全て心を持たぬ化け物に食らい尽くされて終わるのだ!!!」
「ふざけるな!!お前の思い通りになると思うなよ!!」
サジタリモンSMが叫ぶと、大輔が立ち上がる。
「そうだなサジタリモン。タイキさん、キリハさん。それからヒカリちゃん達も力貸してくれませんか?」
「大輔!?」
「本宮っ…!?」
「ミレニアモンは…あいつらはダークナイトモンに無理やり暴れさせられてるんです。助けてやらないと…!!」
サジタリモンSMが即座にデジクロスを解除して分離、退化し、それを見た大輔がD-3Xを構えた。
「ハハハハハ!!立ち向かうつもりかね!止めた方がいい!!伝説によれば無限の再生と自己増殖を行うミレニアモンは攻略不能なデジモンらしいぞ!?素直に絶望したまえ!!君達はここで死ぬのだ!!奇跡など起きぬっ!!」
「うるせえ!!黙れぇ!!強制デジクロスの力に頼った図体だけの腰抜け野郎が!!!ネネさんは奇跡を起こしたぜ!お前がいつも見下していたネネさんがな!!」
大輔がダークナイトモンに向かって叫び返す。
「ネネさんはお前みたいな最低野郎に人生や心を滅茶苦茶にされても、最後まで諦めたりしないで、足掻いて足掻いて足掻きまくって、お前の計画を妨害する奇跡を起こしたんだ!!」
それを聞いたタイキとキリハの中で何かが沸き上がるような衝動が芽生えた。
「大輔……ああ…ネネは最後まで諦めなかった。だから俺達も最後の最後まで足掻こう!!」
それを聞いたシャウトモンが走り出す。
「兄貴っ!?」
「(何だこりゃあ…!!胸の…胸の奥から何かがっ…!!)」
「そうだ…な…!これしきのことで挫けていては彼女に笑われるっ…!!」
キリハも立ち上がり、メタルグレイモンを突撃させる。
「(胸の奥から燃え上がるようなパワーが込み上げてくる!!これはっ…キリハ達から流れ込んで来るのか…!!?)」
「シャウトモン進化!!オメガシャウトモン!!」
「メタルグレイモン進化!!ジークグレイモン!!」
シャウトモンとメタルグレイモンが進化し、ミレニアモンに突撃した。
「ブイモン進化!!エクスブイモン!!」
「ワームモン進化!!スティングモン!!」
「行くぞ、賢!ヒカリちゃん!!…エクスブイモン!!」
「スティングモン!!」
「ネフェルティモン!!」
「「「エヴォリューションクロス!!!」」」
「パイルドラモンHM(ホーリーモード)!!」
パイルドラモンの外郭がネフェルティモンとデジクロスした事により純白に染まる。
進化とデジクロスを完了した3体はミレニアモンに技を繰り出す。
「ハードロックダマシー!!」
「トライデントファング!!」
「セイントスティンガー!!」
オメガシャウトモンが拳から炎を放ち、ジークグレイモンが左腕の爪とパイルドラモンHMの両腕から出した光針でミレニアモンの体を引き裂く。
「あの2体も変化したと言うのか!?更に新しいデジクロスまで…しかし、何故あのミレニアモンが押されているのだぁっ!!?」
「ギルルオオオオオオ!!」
ミレニアモンが背中のサイコブラスターと口から反撃の熱線を放ってきた。
3体はそれを回避しながら必殺技を繰り出してミレニアモンに傷を負わせていく。
「くっ…押し込みきれるかっ…!?」
「いや…駄目だキリハさん!!ミレニアモンはどんどん回復してる!!封印されたデジモン達を今も取り込み続けてるんだ!!」
「…ならキリハ…大輔…聞いてくれ!今あいつと決着をつけるのは諦める!」
「何だとっ…!?」
「このまま戦っても城のデジモン達の犠牲が増えるばかりだ!!」
「じゃあ、どうすんですか?」
「俺達全員のXローダーとD-3Xを使ってゾーン移動の要領で次元の穴を開ける…!そこにミレニアモンを押し出すんだ!!デジタル空間に放出すれば奴が暴れてもどこにも被害を出さずに済むし…いつかあいつ自身を助けるチャンスがあるかもしれない…!!」
「…これ以上、“放っとけない”を抱え込むつもりか…?面白い…!!貴様がどこまでやり遂げられるか見届けてやるぞ工藤タイキ…!!」
「確かにそれ以外にミレニアモンを止める方法はありませんね…」
「全員の力を合わせればきっとゲートを開けます!!」
賢とヒカリも追い付き、D-3Xを構えた。
「それじゃあ行きますよ!!」
「あの巨体を通すんだ!全力でやるぞ!!」
「無論だ!!我が決意、侮るな…!!」
「「「「「デジタル・ゲートオープン!!!!!」」」」」
XローダーとD-3Xを翳し、ミレニアモンの後ろに巨大なゲートを開く。
「パイルドラモン!!頼む!!」
「今だっ!!オメガシャウトモン!!」
「ジークグレイモン!!奴をこのゾーンから叩き出せっ!!!」
「インペリアルドラゴンインパルス!!!」
「オメガ・ザ・フュージョン!!!」
「ファイナルストライクス!!!」
パイルドラモンHMが巨大な大砲を背負った竜のオーラを纏い、オメガシャウトモンは何かのデジモンのようなオーラで全身を包み、ジークグレイモンは光の矢となってミレニアモンに突撃した。
「「「うおおおおおお!!!」」」
ミレニアモンをゲートの中に叩き入れ、デジタル空間に放り出すことに成功したのである。
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