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クロスウォーズアドベンチャー

作者:setuna
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第29話:EX6とHFM

新たな力を得たインペリアルドラモンHFMは全方位から放たれたディアボロモンのエネルギー弾を全身に光のバリアを纏って防ぐ。

「お返しだ!!ギガデス!!」

インペリアルドラモンHDMの名残である胸部の竜の口が開いた。

そこから砲台が出現し、エネルギーの充填が終わるのと同時に強烈なエネルギー波を放つ。

その威力は単発のメガデスを優に超えており、爆発に巻き込まれ、ディアボロモン達が蒸発していく。

「凄い!!」

流石に合体メガデスには及ばないが、単発以上の威力は凄まじい。

「ポジトロンレーザー!!」

右腕に装着された大砲を天に翳し、無数の拡散光線を放つ。

光線は雨のように降り注いでディアボロモンを貫いていき、凄まじい攻撃力を見せた。

30000体いたはずのディアボロモンが瞬く間に数を減らしていく。

ディアボロモンは数を増やそうとするが、それを超える撃破スピードによって追い詰められていった。

一方、進化によって新たな力を手にしたアトラーバリスタモン達。

「アトラーバリスタモン!!行っけええええええっ!!」

「フンガ!!プラズマクラック!!!!」

角に電撃を収束させ、広範囲に向けて放たれた。

タクティモンはそれをかわしつつ、目の前で起きた奇跡に驚愕する。

「(ジェネラルではないあの2人の子供の意気までもが進化を促したと言うのかっ!!?今の電撃…伝説の“八雷神”に準ずる威力だっ…!!)」

それをタイミングを見ていたアカリがイエーガードルルモンに指示を飛ばす。

「イエーガードルルモン!!今っ!!!!」

「!!」

「ヴァイスシュピラーレ!!!」

イエーガードルルモンの槍、シュツルムスティンガーの先端のドリルが高速回転し、タクティモンに向けて繰り出された。

しかしタクティモンは跳躍してかわし、地面のみを吹き飛ばすだけで終わる。

「!!かわされたっ…!」

「オーライでちっ!!ラプタースパロウモン!!」

タクティモンの真上に移動し、捕獲に成功する。

「ムッ…!」

「捕まえたぞっ!!でやああああっ!!ラプターグラップル!!」

高度を上げ、一気に降下してタクティモンを地面に叩き付けた。

「どうだっ…!?へっ!!?」

次の瞬間、土煙を突き破ってラプタースパロウモンに向けて放たれる斬撃。

「マズイ!ロケットバンカー!!」

「シュバルツナーゲル!!」

アトラーバリスタモンが右腕をロケットのように射出して斬撃を砕き、イエーガードルルモンは攻撃兼防御用のザッシュシールドの爪で斬り裂くことで、ラプタースパロウモンを斬撃から守った。

「(…!!…防いだだと…)」

「へっ…へへへ…見ろよ兄貴。あいつらの気合いを…元はと言えば全部兄貴が火をつけたんだぜぇ…!!?ブスブスと燻ってた…あいつらのハートに…!!!」

瀕死の状態にも関わらず不敵な笑みを浮かべながら言うスターモン。

「…!!…スターモン……!」

「…なあ、シャウトモン。確かに俺達…この戦いが終わったら元の世界に帰る。大輔達も元の時代に帰る。俺達はそれぞれの時代のあっちに沢山の夢や目標をほったらかしにしたまんまなんだ…!!そりゃ…デジモンと離れちまえばジェネラルだってただの子供さ!夢を追うって言っても…今までみたいなド派手な大冒険とはいかないだろうけど。それでも…お前のくれた言葉は何時でも俺に勇気をくれる!明日のその先へ…真っ直ぐに…走り続けて行くための勇気を…!!」

「!…へっ…!だせぇ…だっせぇなぁ俺…!!そんな当たり前のことを慌てて忘れちまったんだからよ!!(そうさ…例え、お前がどこにいようと、何になろうと…俺達は何時までも最高の相棒だ…!!)」

笑みを浮かべて立ち上がるシャウトモン。

それは先程とは違い、何時ものシャウトモンの表情であった。

「行こう!シャウトモン」

「Oh Yeah!!」

タイキと共にタクティモンに向かっていくシャウトモン。

「我らの誇りを示せっ!!」

「グルルオオオオオ!!」

キリハもまたメタルグレイモンを突撃させ、進化の光に包まれるシャウトモンとメタルグレイモン。

オメガシャウトモンに進化し、イエーガードルルモンと交戦しているタクティモンに向かっていく。

「!!」

オメガシャウトモンは蹴りを繰り出し、タクティモンを弾き飛ばす。

「「「「「オメガシャウトモン!!ジークグレイモン!!アトラーバリスタモン!!イエーガードルルモン!!ラプタースパロウモン!!エヴォリューションクロス!!!」」」」」

「シャウトモンEX6!!」

進化した全員によるデジクロス体は、輝かしい黄金のボディとなり、無駄のないスマートなフォルムとなった。

右腕にラプタースパロウモンの尾が変形した剣、ソル・キャリバー。

左腕にはイエーガードルルモンのシュツルムスティンガーが変形したデモリッションホーンを装備している。

「(おお…何という尽きせぬ意気…!!尽きせぬ闘志…!!これも武運か…終の戦場でこのような敵と相見えようとは…!!)」

「決着をつける!!ソル・キャリバー!!」

シャウトモンEX6のソル・キャリバーとタクティモンの蛇鉄封神丸が激突した。

「セイクリッドブレード!!」

一方、インペリアルドラモンHFMは爪から光の剣を発生させ、最後の1体のディアボロモンを撃破する。

「やった!!これで最後!!」

「しつこい奴だったが、これで終わりだ。次はタクティモンを…」

「駄目だ。タクティモンとの一騎打ちを邪魔しちゃいけない。男と男の真剣勝負をな。俺達は…」

「ああ…」

インペリアルドラモンHFMはこちらに迫り来るムゲンドラモンとキメラモンの軍団を見遣る。

「邪魔者を全て倒す!!」

インペリアルドラモンHFMは力を解放し、無粋な邪魔をするキメラモンとムゲンドラモンの軍団の殲滅に向かうのであった。

そして大魔殿でも変化が起きていた。

インペリアルドラモンHDMによって瀕死の状態だったダークナイトモンがリリスモンを強制デジクロスで取り込み、息を吹き返したのだ。

「グフッ…!グブフフフッフフフフ…とト取りェ込んだ…!マま魔王リリスモンささえも、こ、この体に…!!」

前以上に言葉を言えなくなったダークナイトモン。

インペリアルドラモンHDMに与えられたダメージは完全に治ってはいない。

しかし、無理な強制デジクロスによって最早痛覚すら麻痺してしまったのか、平然としている。

「ヒヒッ…ヒハハハ、力だ…力が湧き上がる…!!ナ何でも壊せる…!!誰でも殺せるっ…!!!」

「な…なんと言うことだ…!!あれだけのダメージを受けていながら、リリスモンを取り込んだだけで…いや…もう痛覚すら失っているのかもしれない…」

あらゆる力が混ざり合ったダークナイトモンを見て、ウィザーモン達は戦慄している。

「ももっ…最早、何人も我をオ侮らぬ…!サ、蔑まマれることも…オ…脅かされることもも…無い…!!ヒッ…ヒヒ…!!アッ、アアア…こ、この世に生を受け…ココッ…これ程穏やかな心持ちになったことが今まであっただろうか?」

今までの人生を思い返したダークナイトモンは涙を流しながら言う。

「こっ…皇帝陛下、逃げなされーっ!!あなたまで取り込まれればもう奴を止めることが出来なくなるっ…!!」

オチムシャモンが見かねて叫ぶ。

バグラモンがダークナイトモンに取り込まれれば、最早誰も止められなくなる。

「ササ…サア…お前も私にト取り込まれるがいい…共にこの平穏をキョキョ享受しようぞォ…」

その言葉はまるでバグラモンを知らない者のように言っているように聞こえた。

「君は…私が誰なのか分かるかね?」

バグラモンの問いにダークナイトモンは…。

「…!?ダ…ダ…レ…」

バグラモンが自身にとって何なのか分からないようだ。

少し前まで兄と呼んでバグラモンのことを。

「自分の名前を…覚えているかね…?」

「?…ナ…ナマ…ナ…マ…エ…」

度重なる強制デジクロスによって自分の名前すら思い出せない状態となってしまったようだ。

しかし、今のダークナイトモンにとって自身の名前などどうでもいいことに過ぎなかった。

「ソソ…ソンな物はドどうでも…いい…ナなな名前などイらない…チチ力をヲ…チカラを…私ニッ…ヨこせッ…!!ヨコ…?…」

力を貪欲に欲するダークナイトモンの姿はあまりにも哀れである。

バグラモンの目から涙が一筋流れた。

「それが答え…長く長く続いたこの巡り合いの戦いの答えか」

「(な…ミ…ダ…?)」

「今の時代の人の魂は呪われた業を克服出来なかった…そういうことなのだな。君とインペリアルドラモンの戦いを見ていた時から…薄々感づいていた…最早、我々が彼らのようなポテンシャルを持てないことを…」

バグラモンの涙を見たダークナイトモンは自分に脅えているのだと勘違いし、上機嫌になる。

「フヒ…!ヒヒヒヒヒ!!おっ…脅えているのだなっ!!ここッ…この私にっ…ヒヒヒ!イい今に取り込んでデヤヤ…しっ、シェイドモ…」

「シェイドモン」

ダークナイトモンの言葉を遮るかのようにバグラモンがシェイドモンの名を呼んだ。

「長きに渡りご苦労だった。現時点を持って君の任を解く」

「…?…」

「はい」

バグラモンの言葉を理解出来なかったダークナイトモンだが、シェイドモンはバグラモンの言葉を聞いて頷いた。

「!?…?…シェイドモ…」

「どんな無体な仕打ちにも耐えて君に仕えるシェイドモンを不思議には思わなかったのだろうな…傲慢もまた君に課せられた業の1つだ。Xローダーの知識やシェイドモンの幼生は君の可能性を確保するために私が与えたのだ。…それが誰によって齎されたのかも、最早君は覚えていまいが…」

バグラモンの隣に現れたのはダークナイトモンの忠臣のはずのツワーモンであった。

「デジタルワールドは…電子的なデータを介して人の心に照らし出され…認識されるもう1つの宇宙だ」

「!?…?…!?…」

「そしてダークナイトモン。我が弟よ…君は人の絶望の心をその魂に反映して生まれたのだ。私は人がその絶望を…未来への虚無感を克服しうるかを試すために、Xローダーを作り…素養ある人間を召喚し、絶望と希望の相克の舞台を演出した。」

「!何だと…!!(Xローダーをバグラモンが…!!?)」

それを聞いたウィザーモンが驚愕するが、そんな彼に構わずにバグラモンの話は進む。

「然して…答えは出た。君の勝ちだダークナイトモン。いずれ人の絶望を映し出して…このデジタルワールドも今以上の狂気と…恐怖と汚濁にまみれた世界に成り下がろう…その前に…」

シェイドモンのダークネスローダーが光り輝く。

「デジタルゲート・オープン!!」

「いざ…!!呪われし未来との決別をっ…!!!」

空間の歪みから何かが姿を現す。

それはかつてレインゾーンでタイキ達にデジタル空間に放り込まれたミレニアモンであった。

「「ミッ…」」

「ミッ…レ…ニ…アモ…」

リリモンとサンフラウモンが驚愕し、僅かに記憶を取り戻したのか、ダークナイトモンはミレニアモンの名を呼ぶ。

「我がインビジブルスネークアイズで補足し、回収したのだ。いずれ運命が彼を必要とした時のためにな…」

「ミレニアモン、ダークナイトモン…」

ダークネスローダーを構えるシェイドモン。

ミレニアモンを見上げていたダークナイトモンは狂気の笑みを浮かべる。

「…ッヒ…ヒッヒ…そぉぉうだ、来ぉぉい…!!共に2つの世界を呑み込んでやろうぞォォ…!!ヒィーッヒッヒッヒッヒッゴ…ギャアアアアアアア!!!!」

ミレニアモンに上半身を喰われたダークナイトモンの悲鳴が上がる。

「強制デジクロス…!!!」

ミレニアモンとダークナイトモンを強制デジクロスしたことにより、大魔殿の上部が吹き飛ぶ。

大輔達、タイキ達、インペリアルドラモンHFM達の視線がそちらに向けられた。

「最早未来にその名を呼ばれることはないだろうが…忌まわしき太古の伝説に倣い、敢えてお前を名付けよう…」

「「赤黒の…双頭竜…!!!」」

大輔とタイキは見つめる。

ミレニアモンと度重なる強制デジクロスで肥大化したダークナイトモンが強制デジクロスすることで誕生した怪物…。

「ズィードミレニアモン…!!!」

莫大な情報質量であらゆるデジタル物質を吸収し…重力と時間さえ操り、世界を滅ぼしかけた怪物が出現したのである。 
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