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麗しのヴァンパイア

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第百話

                 第百話  苦労の末に
 華奈子も美奈子も小公女を最後まで読んだ、そのうえでセーラが最後は救われたことにほっとした。
 それでだ、華奈子は美奈子に言った。
「セーラは日頃の行いがよかったからかしら」
「それで最後は救われたっていうのね」
「ダイアモンド鉱山の主になって」
 インドの方のだ、それでセーラは救われるのだ。
「そうなったのはね」
「セーラの心がよかったか」
「だからかしら」
「そうかもね。ミンチン先生も何だかんだで救われたけれど」
 学園が破産して破滅しそうになったがだ。
「あの先生はずっと後悔するでしょうね」
「自分の嫌な面を見させられて」
「それに気付かさせられてね」
 華奈子は厳しい口調で言った。
「後は大変でしょうね」
「お母さんも言ってるわね」
 美奈子もまた厳しい顔で話した。
「人が一番悲しい時、辛い時は自分の嫌な面を見させられた時って」
「ミンチン先生はそれを見させられたのね」
「これって凄く辛いわよね」
「自業自得にしても」
 それでもとだ、華奈子も頷いて答えた。
「それでもね」
「残酷な結末ね」
「ええ、けれどセーラは」
「シンデレラみたいにね」
 美奈子は辛い立場からお姫様になれたことにセーラとシンデレラに共通するものを見ていた、セーラは返り咲いたとなるが。
「幸せになれたわ」
「そうよね、それで凄いのは」
「セーラはミンチン先生に仕返しをしなかった」
「仕返し出来たのに」
「けれど仕返しをしても誰も責めないけれど」
 ミンチン先生達がセーラニしたことを考えるとだ。
「けれど同じになってたわね」
「ミンチン先生達と」
「だからセーラは凄いのよね」
「そうした人だから幸せに戻れたのかしら」
「元々心が奇麗だったから」
 それで神様も応えたというのだ。
「そうなのかしら」
「そうかもね」
「大変な苦労をしたけれど」
「最後は救われたのよ」
 その徳、人間としてのそれに神様が応えたというのだ。
「日頃の行いの結果」
「そうかも知れないわね」
 美奈子は華奈子のその言葉に頷いた。
 そうして塾でもその話をするのだった、小公女はむしろ三銃士以上に二人に影響を与えていると言えた。


第百話   完


                  2018・10・24 
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