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ドリトル先生と日本の鉄道

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第五幕その六

「今度ね」
「うん、一緒にだね」
「一緒に行こうってね」
「そうお話していたんだね」
「そうしたらね」
 今日というのです。
「返事が来たけれど」
「それでどうだったの?」
「日笠さん何て言ってるの?」
「メールで」
「うん、是非にってね」
 先生は皆に温和な笑顔でお話しました。
「返事が来たよ」
「それは何より」
「よかったね」
「じゃあ今度一緒にね」
「鉄道博物館行ってね」
「僕達は留守番しておくからね」
「あれっ、君達も来ればいいのに」
 先生は皆の気遣いには気付かずにきょとんとしたお顔になりました。
「そうしないの?」
「いいよ、僕達は」
「だから二人で言ってきてね」
「トミーも王子もそう言うよ」
「だからね」
「二人で行ってきてね」
「僕達はいつも一緒なのに」
 本当に気付かないです、そのうえできょとんとしたお顔のままの先生でした。
「どうしてそう言うのかな」
「だからね、先生それはね」
「先生がこれまで読んだ文学作品思い出したら?」
「先生最近武者小路実篤読んでるんだよね」
「日本のこの小説家の作品を」
「うん、恋愛を軸として人の心の動きを優しい目で書いていてね」
 先生はこの前読んだ棘まで美しという作品を思い出しつつ皆にお話します、先生は文学についても造詣が深いのです。
「素晴らしい作品だよ」
「読んでるのに」
「しっかりと」
「それでもわからない?」
「私達が今言っていることが」
「どういうことかな」
 本当にわかっていない先生です。
「それは」
「だからね、ここはね」
「二人で行って来てってこと」
「もう気付いていないなら考えなくていいから」
「そうして日笠さんとね」
「意味がわからないけれど皆がそう言うなら」
 先生にしてもでした。
「今度二人で行って来るよ」
「そうしてね」
「全く、先生ってこうしたことは駄目なんだから」
「スポーツと家事も全く出来ないけれど」
「こうしたことだって」
「スポーツと家事は確かに駄目だよ」
 ご自身でもよくわかっていることの一つです。
「僕はね。けれどね」
「わからないっていうんだね」
「私達が今言ってることは」
「このことは」
「うん、どういうことなのか」
 本当にというのです。
「わからないけれど」
「だからわからないならいいから」
「武者小路実篤読んでわからないなら」
「もうそれでいいから」
「それならもう考えないで」
「それで一緒に行って」
 日笠さんにというのです、皆はこう言うのでした。そしてトミーも晩御飯に海老と貝のパエリアと鶏のグリル、トマトとソーセージを沢山使ったシチューと赤ワインを出しつつ先生に対して言いました。
「皆の言う通りですよ、それで王子も聞いたら」
「このお話をだね」
「絶対に同じことを言いますよ」
「僕達だけで来て行って来てって」
「はい、そう言います」
 絶対にというのです。 
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