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永遠の謎

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92部分:第六話 森のささやきその十五


第六話 森のささやきその十五

「それはドイツ帝国を創る為だ」
「その為の戦争だからこそ」
「それでなのですね」
「そうだ」
 王はだ。ビスマルクの意図を完全に見抜いていた。全てをだ。
「あの方は決して好戦的ではないのだ」
「あくまでドイツ帝国の為ですか」
「その為だけに戦われる」
「そうだというのですか」
「ドイツはだ」
 次はドイツそのものについての言葉であった。
「まず南にそのオーストリアがある」
「まずはそこですね」
「オーストリアが」
「オーストリアは広大だ」
 ハンガリーにチェコ、それにバルカン半島にだ。オーストリアの影響は中欧全体に及んでいた。それがオーストリア=ハンガリー帝国だったのである。
「北にもデンマークやスウェーデンがある」
「侮れませんね、彼等も」
「決して」
 北にもだ。相手がいるのがドイツなのである。そうしてであった。
「西にフランス、東にロシアだ」
「まさに四方を取り囲まれていますか」
「ドイツは」
「その中で戦争を続けるならば」
 どうなるか。少し頭が回る者ならばすぐにわかることだった。ましてや王ともなればだ。手に取る様に容易にその結論を出してしまった。
「待っているのは破滅だけだ」
「あの方はそれがわかっているからこそ」
「それでなのですか」
「戦争を止めると」
「目的を達せればな」
 そうだというのであった。
「しかし達するまではだ」
「戦争を続ける」
「決して止めることなくですか」
「鉄と血だ」
 ビスマルクの代名詞だ。鉄血宰相である。
「それによってだ」
「軍隊と戦争」
「その二つですね」
「私もまた鉄と血は好きだ」
 ここでだった。王は実に意外なことを言うのであった。周りから聞いていてである。
「だがその鉄と血はだ」
「軍隊と戦争ではないのですか」
「違いますか」
「技術だ」
 まずはだ。それだというのだ。
「鉄はそれだ」
「技術ですか」
「それだと仰いますか」
「技術は夢を適えてくれるものだ」
 その技によってだ。王はそのことを期待していたのだ。
「まさにな。そして血はだ」
「それは何でしょうか、陛下にとっては」
「血とは一体」
「何なのでしょうか」
「心だ」
 今度はだ。それだというのであった。
「私にとっての血は心だ」
「心ですか」
「それなのですか」
「そうだ、心だ」
 そしてその心とは何かもだ。彼は周りに語った。
 
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