仮面ライダーディロード~MASKED RIDER DELOAD~
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第1部~崩壊する楽園~
第1話『新たなる始まり』
「ハヤテさん、どうしたんですか!?」
オーズはメダジャリバーを構えている。
「秘剣、影写し!」
オーズの眼前にいる相手、変身忍者嵐はオーズの目を潰して、その隙にオーズの首を切り裂き、その命が絶たれるとライダーカードに変わっていた。
「王と欲望と奪い合いの世界、捕まえた。」
嵐に変身していたフードを被った者はそのライダーカードを拾い上げて呟いた。
「おう、朝倉。今日も来たのか。」
「カズマ、仕方ないだろ。」
ここは、次元保護国の特別養成施設。ここでは、基礎の学習を学んでいない者、現代の知識を持たない者の知識向上、情状酌量の余地のある者の更生を基本とした施設である。ロストグラウンドで勉強を学べず、朝倉は小学校中学年程度で勉強が止まってしまっているため、雅の指示によりこの施設での教育を条件に、一般生活を行わせている。
「そういや、最近ハヤテを見ねえな。」
「お偉いさんのガキか?」
「違えよ。忍者の方だ。」
「同じ名前の奴が近くにいると解らないな。」
カズマは嵐に変身するハヤテの話をした。ハヤテを始めとする旧時代の人も、この施設で現代技術の知識を学び、それに合わせた職種を探す手伝いも、この施設の役割である。二人が話していると、
「カズマ、朝倉、授業の時間だ。」
劉鳳が二人のいる教室に入ってくる。
「おい劉鳳。前から思っていたけど、なんでてめえは俺達を指導する側なんだ!?」
「そんなことも解らないからお前はそこにいるんだろう。このままでは、かなみに学力で追い越されるぞ。」
「ちっ、わかったよ!」
カズマは舌打ちしながら席に座る。
「今日は、必要最低限の法律を教えておく。忘れれば、ここより厳しい所へ行くことになる。覚えておけ。」
劉鳳は授業を始める。劉鳳は、この施設の運営を任されている。規律を学ばせるならばと、雅に選ばれ施設の区画を始め、教育要項を考案したのも劉鳳である。
「今日の授業は終わりだ。カズマ、今日の内容を大まかにまとめてみろ。」
「おう。乗り物を運転する時はクーガーみてえに馬鹿みたいなスピードを出したら警察に取っ捕まる。それから、運転するのに免許が必要。あとは道路に書かれたルールにはいうことをきく。」
「それだけ分かれば今日は充分だ。二人とも、仕事があるのだろう。今日はもう終わりだ。」
劉鳳の言葉を聞きカズマと朝倉は出て行く。現在、カズマは鴻上ファウンデーションの警備員として職務を務めている。一方、朝倉は雅が香川に資料提供を行って製造したライダーデッキを受け取り、ミラーモンスターの駆除活動を行っている。二人の職務はそれぞれ時間制である為、それを社会復帰に役立てることが、雅の目的であった。
一方、雅は─
「現在、諸外国は我が国が日本に返還されるのかということに焦点を当てていますが、国家代表、そこはどうなっているのでしょうか!?」
国会の法改正案において野党から見当違いな質問を受けていた。雅は手を挙げ、
「凪風国家代表。」
審議長から指名される。
「国際連合において、半年前に我が国は日本国からの独立する際には、米国の調印もされております。これは、旧日本国土である我が国と日本国との二カ国で議論できる内容でもなく、現在日本国政府は我が国の返還を議論していないとの事が、総理大臣の見解です。それから、今議論すべきことは選挙法の改正法案の件で、日本国の国土返還ではありません。」
雅は返答するが、
「国家代表、この問題からお逃げするつもりなんですね!」
野党議員は身勝手な持論を言う。
「ただいまをもって、本日の国会を終了させていただきます!」
審議長の言葉で今日の議論は終了し、雅は中央会議室を出る。すると、
「国家代表、日本と国交問題はどの様にするつもりですか!?」
今日の国会の内容を待っていたとばかりにマスコミが群がる。
「どの様にも、日本も我が国も、国交を回復させる予定も、返還する予定もありません。」
雅は答え、
【ATTACK RIDE-WARP-】
ワープのアタックライドで外へ出る。
「これは、近いうちに放送法も改正する必要性がありそうだな。」
雅は国家代表庁舎の中で呟いていた。
「おい、真司!この間の記事はなんだ!?」
「編集長…じゃなくて社長!まずかったですか!?」
「まずいなんて話じゃねえよ!飛ばし記事を書くな!うちは今は公共新聞社になっているんだ!海外の人も見ることを考えろ。」
真司は大久保に叱られていた。新聞会社の殆どを失っていた所からスタートした次元保護国はOREジャーナルを公共新聞社として引き上げていた。
「大久保社長、例の黒いフードの事件、目撃者がいましたので今から取材に行ってきます。」
一文字がやって来る。現在、海外との国交が整備されていない次元保護国において、一文字はニュースを追うのに都合の良いOREジャーナルに入社していた。
「ああ、行ってこい。真司、隼人について行け!」
「分かりました社長!」
真司は一文字と共に出て行く。
「乾さん!」
「渡か。」
「あれから調子はどうですか?」
「普通にやらせてもらっている。」
「よかった。兄さんのライフエナジー供給システムが、オルフェノクにも適用できて。」
渡は巧の意見を聞き安堵する。世界が融合してすぐ、巧の寿命は残りわずかとなっていた時、大牙は咄嗟に巧をライフエナジー供給システムにつなぎ、一命を取り留めたことで、非人類への医療システムは飛躍的発展を遂げたのであった。
「この方法が、より多くの種族を救えるように、僕も兄さんの協力をしているんです。」
「なんでも、紅世の奴らにも使えるから、人を襲う奴が激減したらしいしな。」
「それでも、ゼロにはならないんですよね…」
「そのために、俺達や、シャナみたいなのがいるんだろう?」
「そうですね。」
巧と渡は分かれる。
「おい鍵!また会議を茶化して。お前それでも会長か!?」
杉崎は深夏に羽交い締めにされていた。本来、椎名姉妹はこの春に引っ越す予定があったが、次元保護国となり、国交が無いため、二人は碧陽に残り普通に生活している。
「おい、深夏!そろそろやばいって!真冬ちゃんも見てないで助けて!」
「知りません。中目黒先輩を無視した罰です。」
杉崎は助けを求めるが、放置される。
「この国の国交法はいつ整備されるのでしょうか?」
キノは国交省に電話で質問していた。
〝現在は移動手段の製造が行われていないため、当面は海外旅行等は不可能です。申し訳ございません。〟
「そうでしたか。ありがとうございます。」
キノは電話を切る。
「ここら辺も、雑草が生え始めましたね。」
「ああ。まずは参考の写真と、植物のデータ採取だ。」
「香那ちゃんには見せられないな。こうやって研究の為に植物を傷つけるのは。」
「天音ちゃんも、あまりよく思っていない。だが、この土地が安定しているか確認する作業は必要だからな。」
耕司と始は同じカメラマンとして意気投合し、現在は生物学研究所に勤めている。
「この世界ができて、俺は本当に嬉しく思っている。」
「どうしたんですか、相川さん。」
「俺と剣崎は、ジョーカーという互いに滅ぼしあうアンデッドだというのは瀬川も知っているだろ?」
「はい。」
「だが、この世界ではモノリスは干渉する能力を持たないのか、そもそも出現出来ないのか解らないが、俺と剣崎がこの狭い国の中にいても戦わずにすんでいる。俺が相川始となって、欲しかった平和な日々だ。」
「そうですか。あっ、噂をしていれば。」
始が語っていると耕司は何かに気づき始が見ると、剣崎と橘がやってくる。
「よ、始。ここら辺の調査か?」
「ああ。剣崎の方はどうだ。」
「こっちは今日は42件のロストロギアの解析を頼まれたよ。」
現在、剣崎と橘は超越文明研究所でロストロギアの研究、解析を担当している。
「そうか。大変だな。」
「ホントだよ。始の方も、頑張れよ。」
剣崎と橘は去り、始と耕司もサンプルと写真を生物学研究所へ運んでゆく。
「このサンプルの特性からして、日本の種子が偏西風もしくは鳥類を経由してこちらに渡ってきたものとみて間違いない無いだろう。」
耕司と始から渡されたデータを本郷は解析している。すると、
「本郷先輩!」
雅がやってくる。
「雅君か。」
「本郷先輩、どうですか?」
「やはり、太平洋中部にあるこの国は、日本由来の植物が運ばれて気安い立地条件にあるようだ。それから雅君、その先輩と呼ぶのは一体?」
「僕の在籍していた城南大学附属高校は城南大学の一貫校ですので、本郷さんは僕の先輩にあたりますから。」
「そうか。それで、雅君の方は調子はいいか?」
「ぼちぼちですね。」
「わかった。こちらの書類をまとめたら、勉強をみてあげよう。」
雅の学力に合わせた技術的な勉強をみることが出来るのは数少ないため、本郷はそちらも協力的に行っていた。
「ジローさん、イェッサーを外してから、具合は大丈夫ですか?」
夕暮れ時、ジローを見かけた雅は声をかける。
「雅君か。まるで付き物が落ちたような気分だよ。風田君にイェッサーを止めてもらって、皆さんに外してもらえて、本当に感謝しています。」
ジローには善を司る良心回路が備わっていたが、プロフェッサーギルによって、人間の持つ邪悪な私利私欲を司る悪心回路、通称イェッサーを接合させられ、妹機であるビジンダーを騙して脱走し、兄弟機の01と00を殺し、最終的にプロフェッサーギルを殺害した事でジローの心は完璧な人間となれたが、その事で思い悩んでいた。しかし、あるときイナズマンにイェッサーを停止してもらい私利私欲に惑わされる事がなくなり、雅達の協力で、イェッサーを外すことに成功したのだ。
「そういえば、最近ミツ子さん達が帰って来なくて、探しているんですよ。」
「本当ですか!?こちらでも捜査してみます。」
雅はジローの言葉を聞き、別れて単独捜査を始める。
「本当に、どこに行ったんだろう?」
ジローは人気の無い路地裏に入る。すると、後ろから黒いフードを被った男が現れ、
〔タカ!クジャク!コンドル!♪タ~ジャ~ドル~!〕
仮面ライダーオーズ タジャドルコンボに変身する。
「日野さん?じゃない!スイッチ、オン!」
ジローはキカイダーにチェンジする。
「君は一体!?何故僕を襲う!?」
キカイダーは自衛を行うがオーズは軽々避ける。
「答えろ!」
キカイダーは両腕で電気エネルギーを纏わせるが、
「こいつらがどうなってもいいのか?」
オーズは野太い声で話し二枚のライダーカードを見せる。そこにはキカイダーの探しているミツ子達が描かれていた。
「まさか!?」
「分かったか?」
〔スキャニングチャージ!〕
オーズは必殺技を発動し、飛翔する。
「デン、ジ……エンド!」
キカイダーは急降下してオーズに必殺技のデンジエンドを放とうとするが、オーズのプロミネンスドロップがその腕を破壊しながらキカイダーの胸部を抉りキカイダーは爆発。黒いフードの男はキカイダーのライダーカードを拾い上げ、
「光明寺の人造人間の世界、捕まえた。」
そう呟き、懐にしまう。世界は、平和に見えて、少しずつ侵蝕されていた。
to be contInued.
次回、仮面ライダーディロード
「羽入が見つからないの。」
「この世界にいない人は探せないぜ、お嬢ちゃん。」
「もう、いい人でいるのは疲れたんだ。」
「戦ってくれ、アニキ!」
次回『反逆のディロード』希望を紡いで、全てを救え!
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