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永遠の謎

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7部分:第一話 冬の嵐は過ぎ去りその一


第一話 冬の嵐は過ぎ去りその一

                  第一話  冬の嵐は過ぎ去り
 太子となってからの彼はだ。自由を忘れてしまった。
 朝から晩まで授業が行われる。ローゼの教育は厳格だった。
「歴代の教育は厳格にしても」
「それでもな」
「あれはかなり」
「厳しいな」
「全くだ」
 周りの者も驚くまでの厳しさだった。そしてだった。 
 王は多忙であり我が子を省みることが少なかった。王としての務めを果たすことに忙しかったのだ。それでそれを聞いてもこう言うだけだった。
「それでよいのだ」
「よいのですね」
「あれで」
「オットー様も同じく受けていますが」
「あの厳しい教育を」
「厳しければ厳しい程いいのだ」
 そうだというのである。これが王の言葉だった。
「余もそうだったではないか」
「それはその通りです」
「ですがあれはかなり」
「厳し過ぎるのですが」
「かなり」
 これが周りの者達の言葉だった。彼等にしてみればローゼの教育はあまりにも厳し過ぎた。それで今王に対して意見をするのだった。
 しかしだ。王はそれを聞き入れない。そしてだった。
「ローゼにはこう伝えておいてくれ」
「何とですか」
「それで一体」
「より厳しくしてもよいとな」
 こう告げるのだった。
「厳しければ厳しいだけだ」
「朝から晩までなのですね」
「これまで以上にですか」
「それは」
「そうだ、そうしてもよい」
 また話す王だった。
「それがルートヴィヒを正しき王にするのだからな」
「だといいのですが」
「それでは」
 彼等は幾分か懐疑的な顔であった。あまりにも厳しいと思ったからだ。
 だがローゼの厳格な教育は変わらない。それを続けるのだった。
 そのうえで友人達にこう話すのだった。
「ルートヴィヒ様だが」
「今家庭教師をしていたな」
「殿下の」
「そうだ、そうしている」
 また話す彼だった。
「非常に優れた方だ」
「そうなのか」
「それではやりがいがあるな」
「いいことではないか」
「それ自体はな」
 ここで彼の言葉に苦いものが加わった。
「いいことだ。お人柄もいい」
「では言うことはないな」
「いい王になられる」
「そうなるな」
「いや、それがだ」
 ローゼはまた苦いものが加わった声で話した。
「どうも。御自身の興味があるものばかり学ばれ」
「そうなのか」
「興味のあることだけをか」
「それだけを学ばれるのか」
「そうだ。それに」
 さらに話す彼だった。
「どうも夢見がちなご気性のようだ」
「想像が好きか」
「そうなのか」
「そうだ。神話や聖書がお好きだ」
「それはいいではないか」
「うむ、いいことだ」
 神話や聖書は教養として欠かせないものだった。それで友人達も話を聞いてそれはいいとした。しかしここで、なのだった。
 ローゼはだ。難しい顔で話すのだった。今度はその顔だった。
 
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