悲しい浪漫西
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第二章
「自分がって思うと」
「余計によね」
「嫌になるわね」
「怖いわよね」
「失恋したくないわ」
心からこう思った。
「中原中也みたいな思いはね」
「したくないわね」
「絶対にね」
「私もよ。中原中也どれだけ辛かったか」
「そう思うわよね」
「本当にね」
二人で思った、それでだった。
私は中原中也のことを思いながら詩を読んでいった、そうしてその悲しさを余計に思った。その短かった人生のことも。
そうして私も恋愛なんかしたくないと思った、けれど。
その私も好きな相手が出来た、けれどだった。
私は友人を放課後喫茶店に招いて相談した、中原中也のことを話した彼女に。すると彼女は私にクールな感じで言ってきた。
「あんたがね」
「結局なの」
「どう思うかよ」
「そう思うかどうかなの」
「そう、告白してね」
そしてというのだ。
「交際出来るかどうか」
「断られたら?」
振られたら、私は彼女に問うた。コーヒーを注文したけれどそのコーヒーは今はとても飲めなかった。
「その時は。それで告白しても」
「それでもよね」
「中原中也みたいにね」
「振られて他の相手のところに行かれるか」
「そうなったら」
本当にだった。
「どれだけ辛いか」
「中原中也みたいに」
「そう思うからよ」
「それが怖いならよ」
中原中也みたいになる、そのことがとだ。友人は私に言ってきた。
「もうね、最初からよ」
「告白しないで」
「諦めたらいいのよ」
「そうなの」
「中原中也も辛かったわ、折角心から好きだったのに」
その女優の人をとだ、私に言ってきた。
「それでも去られたから」
「他の人のところに」
「ええ、別れたくなかったから追い掛けたのよ」
そうして必死にすがったのだ、行かないでくれと。
「そうしたのよ」
「そうよね」
「けれどね」
「ロマンスは終わったから」
その願いも虚しくだ。
「こんな悲しいお話はないわね」
「そうよね、そう思うからなの」
「私は恋愛が怖くなったわ」
まだしたこともないのにだ、私は友人に話した。
「それ位ならね」
「それは考え過ぎじゃないかしらって思うけれど」
「そう思うけれどね、自分でも」
「けれど失恋で傷つきたくない」
「傷つく話は何処にでもあるから」
中原中也みたいに聞いている方が辛くなる様な結末はだ。
そう思うからだ、私は彼女にこうも言った。
「したくないわね」
「かなり影響されてるわね」
「自分でも思うわ、性別は違っても」
私は女で中原中也は男性だ、性別はまた違う。
けれどだ、それでもだ。
「あんな目に遭ったらって思うと」
「怖くて嫌で」
「辛いって思ってね」
「恋愛事態をなのね」
「したくないわ」
友人にかなり本気で言った。
「詩だけにしておきたいかも。それか小説かね」
「それは極端ね、失恋恐怖症になったの」
「そうかも」
自分でも思った、本当に失恋する位ならと思う。この時の私は本当にこう思った。
そして他にも失恋の話を詩だけでなく歌でも小説でも他の物語でも読んで現実の話も聞いて余計に失恋が怖くなった、けれど。
その私にだ、ある日友人は私にクラスで言った。
「幾ら何でも怖がり過ぎよ」
「失恋を」
「最初から失恋したくないしたくないでね」
こう思ってというのだ。
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