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戦国異伝供書

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第二十三話 東国入りその十一

「そのことも言っておくぞ」
「わかり申した」
「それではです」
「暫くは新たに手に入れた国々を治めていきますが」
「いざとなればですな」
「戦ですな」
「それに入る」
 躊躇せずという言葉だった、信長はこうしたことも言ってそうしてだった。今は小田原にいて城を囲んでいた。
 そうしているうちに各地に送っている諸将が城を攻め落としていっていた、信長はその報告を聞いて満足した声で述べた。
「うむ、この流れは良い流れじゃ」
「北条家の城を次々と攻め落としています」
「中々落ちぬ城もありますが」
「順調ですな」
「しかも箱根も抑えた」
 北条家が守りの要の一つとしているそれもというのだ。
「これで東海道も使える」
「ならばですな」
「余計によいですな」
「それではです」
「もう北条家の城を次々と攻め落としていくだけですな」
「そして海もじゃ」
 関東のそこもというのだ。
「二郎が水軍を率いて掌握した」
「ですな、九鬼殿がやってくれました」
「それで安房や上総、下総にも影響を与えていますし」
「小田原の城を海からも囲んでいます」
「これで北条家は完全に袋の鼠」
「そうなっていますな」
「よいことじゃ、しかしやはり忍城はな」
 この城はというと。
「中々難しい様じゃな」
「佐吉殿と桂松殿も」
「頑張っておられますが」
「それでもですな」
「あの城については」
「堅城でしかも強者もおる」
 それ故にというのだ。
「甲斐姫がな」
「見事な強さの様ですな」
「知勇を兼ね備えて」
「中々攻めを寄せ付けぬ」
「その様ですな」
「そうした者は家臣に欲しい」
 信長はこうも言った。
「しかし今はな」
「まだ敵ですな」
「だから降さねばならぬ」
「そうなりますな」
「そうじゃ」
 その通りだとだ、信長はまた答えた。
「そして忍城もじゃ」
「攻め落とさねばなりませんな」
「それは必ず」
「だからですな」
「佐吉殿達には攻め落としてもらう」
「そうしてもらいますな」
「そうじゃ、しかし佐吉達は攻め落とせぬな」
 信長はこう確信していた。
「それだけの猛者がいれば」
「それではですな」
「あの城は攻め落とせず」
「残りますか」
「そうなるであろう、しかしな」
 それでもというのだ。
「他の城は落ちて小田原の誌とも落ちる」
「ならばですな」
「忍城もですな」
「我等のものとなりますな」
「織田家に」
「北条家が降ればじゃ」
 それでというのだ。
「忍城も降るしかないな」
「では堅城は、ですな」
「攻め落とせぬなら置いておく」
「他の城を優先させて攻め落とし」
「そして小田原城もですか」
「降す、こうして何時までも囲んでおけば」 
 付城まで置いてだ。 
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