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老ガンマンへの心遣い

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第四章

「わしの名はデビー=マックウィーンじゃあ」
「へえ、如何にもガンマンって名前だな」
「いい名前じゃね」
「そうじゃろ、このハリウッドで一番のガンマンじゃ」
 まさにとだ、マックウィーンは二人に笑って返した。
「そしてそのわしがじゃ」
「今からだね」
「山に行くんだね」
「そうしようぞ、よいな」
「ああ、その前にだよ」
 佐藤は年齢からは想像出来ないまでに血気盛んなマックウィーンに対してストップをかけた。
「旅支度をしないとな」
「わしは出来てるぞ」
「悪いけど僕等がやねん」
「実は馬まだ飼ってへんねん」
「レンタルにしてもな」
「ちょっとな」
 こうマックウィーンに言うのだった。
「そやからな」
「馬借りてええ?」
「街の方まで行って」
「そうしてええやろか」
「わかった」
 一言でだ、マックウィーンは二人に答えた。
「わしとしては今すぐに行きたいが」
「それでもな」
「ここは悪いけど」
「山までは距離がある」
 それ故にというのだ。
「ならな」
「ちょっと馬借りるな」
「そうさせてもらうわ」
「では街に行こうぞ」
 こう話してだった。
 二人の馬の為にマックウィーンは彼等を街の店が集まっている場所に向かった、そこでだった。
 二人は馬を借りるだけでなくだった、そのうえで。
 マックウィーンの情報を彼に見付からない様に集めた、彼自身の話は聞いたが周りの評判も聞きたくてだ。
 それで集めたが集まった情報は決していいものではなかった。
「あの爺さんもなあ」
「もう引退してもいいのに」
「確かに昔は凄かったけれど」
「もう八十だからね」
「引退してもいいのに」
「まだまだ現役だって」
 誰もが困った様な顔で話した。
「そんなことばかり言って」
「それでだからな」
「死ぬまでガンマンとか言って」
「その意気はいいにしても」
「流石に歳だろ」
「今度は山のドラゴン退治だって言うけれど」
「年寄りの冷や水になるぞ」
 ハリウッドの者達はマックウィーンを完全に過去の人と見ていて早く隠居すればいいと思っていた、だが。
 マックウィーンは意気軒高で馬を借りた二人に言うのだった。
「馬は借りたな、ではじゃ」
「今からやな」
「山に向かうんやな」
「そうするぞ」
 こう二人に言うのだった。
「よいな」
「ああ、ほなな」
「これから山に行こうな」
「そしてや」
「ドラゴン退治やな」
「そうするぞ、ついて来るのだ」
 こう言って先頭に立って二人を先導する、だが。
 そのマックウィーンのぴんと張った背を見てだ、兄妹は話した。
「どうもな」
「あの人の評判よくないな」
「もうお年寄りでな」
「引退すればええってな」
「そう言われてるし」
「どうやろな」
 こう話すのだった。
「見たところまだまだ腕はええけど」
「八十歳って戦う年齢ちゃうしな」
「ドラゴン退治するとなると」
「やっぱりやな」
 それこそと言うのだった。
「こっちで何とかせんと」
「さもないとどうにもならんわ」
 二人で言った、そしてだった。 
 佐藤は香菜にこう囁いた。
「ほんまにドラゴンがおったらな」
「その時はうち等で戦うべきやな」
「さもないとや」
 それこそというのだ。 
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