妖精達の社
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第二章
「ゴミや」
「何で空からゴミが落ちる?」
「上には誰もおらんな」
香菜は空を見上げた、すると翼人や香菜達の種族である天狗もいなかった。
「その筈やが気配もしたな」
「気配?」
「ああ、何か小さいな」
「そう言われたらな」
ふとだ、佐藤もここで感じ取って鋭い顔になって応えた。
「僕もな」
「感じるやろ」
「小さいけどな」
「そんな気配をな」
「フェアリー族の半分いや三分の一位の」
「それ位のな」
まさにと言うのだった。
「そうした気配も感じるやろ」
「ほんまにな。何や」
「その気配の主がゴミ落としてきたか?」
「そうちゃうか?しかしな」
それでもとだ、佐藤は述べた。
「気配を一旦感じるとな」
「気になるな」
「どうにもな」
二人でこんなことを話した、そしてだった。
二人は今度は林檎の店に入ってそれぞれ林檎を買おうとした、だがここでだった。
香菜は手元を見てだ、こう言った。
「おったわ」
「気配の主がか」
「これや」
香菜は自分の声で逃げようとした何者かを捕まえた、それは着物を着た女のピクシーだった。星の者であり凄腕の忍者である香菜の手から逃れることは如何に隠れること逃げることが得意な妖精族のピクシーでも無理だった。
そのピクシーの襟を右の親指と人差し指で摘まんで兄に見せてだ、香菜は兄に対して言った。
「多分お蕎麦もゴミも」
「こいつの仕業か」
「そやろな」
「ええい、離せ」
ピクシーは香菜に小さな手足をじたばたさせつつ抗議した。
「大切な神殿を奪い去った極悪人が」
「はあっ、神社!?」
そう聞いてだ、香菜は思わず声をあげた。
「何やそれ」
「諏訪神社やないな」
佐藤はこの世界の信濃にもあるこの社のことを思い浮かべた。
「ちゃうな」
「違う」
ピクシーがすぐに佐藤に答えた。
「我等の社だ」
「自分等ピクシーやな」
「左様、この辺りに住んでいるな」
ピクシーは自分から言った。
「ピクシ―族だ」
「そやな」
「それでだ、貴様はだ」
ピクシーは今度は香菜を指差して抗議した。
「その社を盗んだな」
「私がか」
「大人しく返せばよし」
ピクシーは彼に言った。
「しかし返さないならだ」
「どうやっちゅうねん」
「このまま罰を与え続けるぞ」
「罰ってやっぱり唐辛子とかゴミもか」
「唐辛子は吾輩がしてだ」
そしてというのだ。
「ゴミは空を飛び我等の同族の小フェアリーがしたものだ」
「そうか、しかしな」
「しかし。何だ」
「私今こっち来たばかりやで、それで社ってな」
ピクシ―が言うこのことについても話した。
「全然知らんで」
「嘘を言え、その頭巾こそが証だ」
「頭巾?」
「そうだ、紫の頭巾だ」
それこそがというのだ。
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