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天秤座の厄日

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第二章

 時間をチェックしつつ家を出ようとしたが母親にあるものを手渡された、そうして母にこう言われた。
「帰りにこれを買ってきて」
「このメモ帳に書いてるのを?」
「ええ、買ってきてね」
「あれっ、これって全部」
 すみれは母のメモを見て言った。
「百貨店にあるから」
「あんたの学校の近くにあるから行ってきてね」
「地下鉄じゃないと行けないわよ」
 すみれが通っている高校から行こうと思えばとだ、すみれは母に言った。
「あそこまでは」
「だから地下鉄使ってね」
「それでっていうのね」
「行ってきてね」
「それからお家に帰れっていうのね」
「部活帰りでね、いいわね」
「何もなかったらいいけれど」
「何もない様に備えを色々渡したでしょ」
 警棒なり傘なりをというのだ。
「だから。いいわね」
「ええ。帰りはね」
「百貨店寄ってきてね」
 こう言ってだった、母は娘にメモ帳を渡した。娘の方もそのメモ帳を手に入れて忘れない様に財布に入れてだった。
 登校した、時間をチェックしてから出発したのでバスにも電車にも遅れなかった。それで学校に着いてもだった。
 すみれはこの日は怒らないことを心掛けて平和に暮らした。出来るだけ机から離れず静かにしていると。
 クラスメイト達にだ、こんなことを言われた。
「今日大人しくない?」
「どうしたの?」
「いつもより静かだけれど」
「体調悪いの?」
「いや、実はスマホの星占いの結果が最悪で」
 それでとだ、すみれはクラスメイト達に答えた。
「だから大人しくしてるの」
「動いたら何かありそうだから」
「それでなのね」
「用心をしてなの」
「動かない様にしてるの」
「ええ、学校には来たけれどね」
 母の言う通りにしてだ。
「出来る限り災難に遭わない様にしているのよ」
「成程ね」
「星占いの結果なの」
「それを気にして」
「それでなのね」
「傘持ってるしお財布とかチェーン付けたし」
 すみれはその用心のことも話した。
「あと護身用にスタンガンと警棒持ってるし」
「痴漢対策ね」
「それもしてるのね」
「そうしてね」
 そのうえでというのだ。
「学校に来てね」
「それでなのね」
「学校の中では大人しくしてるのね」
「そうなのね」
「そうよ、とにかく今日の運勢は最悪って出たから」
 天秤座、つまりすみれはというのだ。
「だから学校ではね」
「注意して大人しくして」
「難を逃れるのね」
「忘れもののチェックもしたわ、そうしたら」
 すみれはこのことはほっとした顔になって述べた。
「体操服上下忘れてたわ」
「今日体育あるのに」
「それはよかったわね」
「早速難儀を逃れたわね」
「それにさっき気付いたら制服からスマホ出てたし」
 それがというのだ。
「チェーンに付いてね」
「危うく落としそうだったのね」
「チェーン付けててよかったわね」
「実際に難儀を逃れたわね」
「よかったじゃない」
「本当にね、通り雨があっても」
 窓の方を見ると天気は晴れだ、だがそれでも占いの結果からすみれは言った。 
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