麗しのヴァンパイア
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第九十六話
第九十六話 お風呂の中での話
華奈子と美奈子はいつも通り二人で一緒にお風呂に入った、そうしてお互いの身体を洗った後で湯舟の中に向かい合って入ったが。
華奈子は美奈子に湯舟の中でこう言った。
「結局鉄仮面が誰かわからなかったけれど」
「残念なことにね」
美奈子は苦い顔で応えた。
「そうだったわね」
「ええ。それでこのことはね」
「これからもっていうのね」
「わからないと思うわ」
華奈子は美奈子に話した。
「多分ね」
「そうでしょうね、私もね」
「美奈子もそう思うでしょ」
「ええ。証拠が本当にね」
「何もないからね」
「完全に消されたみたいだから」
ブルボン王家が完全に消し去ったらしいことは二人も調べていてわかった。
「誰だったか書いていた文章も」
「もうないのよね」
「何処かに行ったみたいだから」
鉄仮面の正体について書かれたそれがだ。
「だからね」
「もうね」
「鉄仮面の正体はこれからも」
「はっきりとはわからないわね」
「推理の域でしょうね」
「推理ね」
「この人だろうっていう推理は出来ても」
それでもというのだ。
「はっきりしたことはね」
「これからも言えないで」
「それでね」
「最後の最後まで」
「わからないで」
それでというのだ。
「終わりでしょうね」
「そうなるわね、華奈子の言う通り」
美奈子は湯舟の中で華奈子のその言葉に頷いた。
「新しい証拠が発見されないと」
「それも確かな」
「そうでもないと」
「わからないままね」
「そうした証拠も出そうにないし」
美奈子はそう感じていたが華奈子もだ、二人共鉄仮面のことについての考えは何処までも一致していた。
「だからね」
「このままね」
わからないままだとだ、言うしかなかった。二人は身体が温まった後で髪の毛を洗って身体を拭いてから服を着てお風呂場を後にした。
第九十六話 完
2018・10・10
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