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永遠の謎

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544部分:第三十二話 遥かな昔からその五


第三十二話 遥かな昔からその五

「王位は神により授けられたにしてもだ」
「それは機関である」
「国家の為の」
「だからだ」
 それでだというのである。
「あの方にはそうして頂くことも考えなくてはならないのかもな」
「しかしその場合はです」
 ここで周りは怪訝な顔で言った。
「その次の王ですが」
「どなたがいいのですか?」
「それは一体」
「間違ってもです」
 ここで彼等は怪訝な顔でだ。彼の名を出した。
「オットー様はです」
「王にはなれません」
「どうしてもです」
「そうだ。あの方はだ」
 王になれないというのだ。ホルンシュタインもそれはわかっていた。
「御気の毒なことだ」
 こうだ。苦渋の顔で言ったのである。
「ああなられるとはな」
「ドイツ皇帝の即位式では無事でしたが」
「ですがそれでも最早です」
「あの方はもう」
「あのままです」
「あの方は玉座には座れない」
 ホルンシュタインはその苦渋の顔で言い切った。
「どうしてもだ」
「では一体どなたが」
「王になれるにしてもです」
「その方は」
「わからない」
 ホルンシュタインも今は打つべき手を考えられなかった。
 それでだ。声をぼかして言うのであった。
「どなたがおられるのか」
「大公殿下ですが」
「あの方がおられますが」
「王位継承者として」
「いや、あの方は」
 大公についてはどうか。ホルンシュタインはすぐに述べた。
「そうした御考えはない」
「野心のない方ですね、確かに」
「それに陛下のことを大事に思っておられます」
「常に気遣っておられます」
「では王位は」
「あの方は陛下のことを心から思っておられる」
 実際にそうだとだ。ホルンシュタインも話す。
「その為のことであるがだ」
「それでもですね。野心がおありではなく」
「そして陛下を退け御自身が王位に就かれることはない」
「それは決して」
「そうだ。それはない」
 絶対にないと。ホルンシュタインは断言した。
「あの方はだ」
「ではどうすればいいのか」
「それですが」
「少し考えるか」
 彼は腕を組み考える顔で述べた。
「とにかく全てはバイエルンの為だ」
「はい、その為にですね」
「何とかしなければなりません」
「陛下にとってもよいことを」
 彼等は彼等なりにバイエルン、そして王のことを考えていた。それは確かだ。
 だが、だった。その王はだ。
 銀の温められた食器で馳走を食べていた。豪奢な、宮殿そのものの食堂で。
 そこで一人座り侍従達を控えさせてだ。そのうえで、である。
 彼は下から小型のエレベーターで運ばれてくる食事を食べながらだ。ホルニヒに述べた。
「いいものだ」
「御気に召されていますか」
「うむ」
 その通りだとだ。王は自身の傍らに立つホルニヒに述べる。
 
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