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永遠の謎

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533部分:第三十一話 ノートゥングその十四


第三十一話 ノートゥングその十四

「あの思想がドイツに入れば恐ろしいことになります」
「ドイツにおいてフランス革命が起こる」
「ドイツにロベスピエールが誕生しますね」
「共産主義はジャコバンなのだ」
 遥か先にわかることをだ。王は今述べた。
「全く新しい思想に見えるが実はそうではないのだ」
「違うのですか。新しくはなかったのですか」
「そうだ。あれはジャコバンなのだ」
 王は共産主義を再びだ。ジャコバンだと述べた。
「全てを否定し自分達以外を粛清していく」
「そして神を否定し理性やそういったもののみを崇拝していくからですね」
「実は崇拝するのは理性ではない」
 王はこのことも否定した。
「教義だ。そしてそれを手にするロベスピエールだ」
「そういったものがですね。共産主義において崇拝されていくのですか」
「王は殺され彼等は身内同士でも殺し合う」
 ジャコバン派で実際に起こったことをだ。王は述べていく。
「共産主義はそうした主張だ」
「だからこそですか」
「共産主義はドイツに入れてはならない」
 王は述べた。
「そうした意味でビスマルク卿は正しい」
「あの方は共産主義者を徹底的に取り締まっておられますね」
「さもなければ取り返しのつかないことになりかねない」
「陛下も同じ御考えですね」
「その通りだ」
 王はこうホルンシュタインに述べる。
「私は王だ」
「だからこそですか」
「あの思想は認められない」
 どうしてもだというのである。
「そしてだ」
「そしてなのですね」
「共産主義者と共にだ」
 ここでだ。ビスマルクのことを考えてだった。
 そうしてだ。こう言ったのである。
「あの方はカトリックも問題視しておられる」
「あのことですか」
「文化闘争になるか」
 王はここでは憂いの顔で述べた。
「色々と規制が為されるだろう」
「そのことについてはどう思われますか」
「残念だ」
 王は今度は無念の言葉だった。
「非常にな」
「しかしそれでもです」
「そうだ。仕方のないことだ」
 王は言う。その無念の声で。
「そのこともまた、だ」
「しかしそれでもですか」
「ドイツにおいて宗教対立は以前として存在している」
 それこそマルティン=ルターの頃からである。一度三十年戦争という破局を経験している。しかしそれでもだ。対立は存在しているのだ。
 だからこそだ。王は言うのだった。
「その対立を解消することは容易ではない」
「一朝一夕にはできませんね」
「世代をかけて行われるものだ。だが」
 それでもだというのだ。
「今すぐにはできない故にだ」
「抑圧が起こりますか」
「どちらか一方をあまり極端に自由にさせることはできないのだ」
「政治としてはですね」
「そうだ。政治だ」
 王は政治を語る。その独特の視野から。
「政治としてはだ。どうしてもだ」
「カトリックもプロテスタントもどちらも」
「バランスを維持しなければならないのだ」
「そこが共産主義とは違いますね」
「共産主義はドイツを滅ぼす」
 そうした意味で共産主義については全否定だった。
 
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