異世界転移した最強の俺、追放されたSSS級冒険者(美少女)を拾う
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耳障りな音
意外にも簡単に近づけたなと俺は思った。
まさか自分たちが同じように“奇襲”を受けるとは思っていなかったのだろう。
実際に奇襲用に用意した人員は全員倒しておいたので、まさかこんな大人数で再び急襲されるとは思っていなかったのだろう。
だから油断して呆然としていたのかもしれない。
とはいえさすがに目の前にまで近寄られると、気づくようではあったが。
そして三人のうち、箱を持った人物を後ろに隠すようにそのうちの二人の男が俺達の方に向かって魔法を放とうとするが……。
「“風の結界(ウィンド・ウォール)”、そして“拡張”っと」
とりあえず俺は今回は結界魔法が得意、という話になっているの結界中心で戦っていくことにする。
もっともいざとなれば、攻撃魔法から転移魔法、それらを“無詠唱”で行うが。
技名を発するだけでも魔法効率が二分の一になり、魔力が少ない者や強力な魔法を使う者、魔力を節約したいものは技を使うために呪文のようなものを唱えて攻撃するらしい。
だからいざという時のために俺は、俺なりに呪文を覚えていたりするのだが、今の所使う機会はまるでない。
それほどまでの強敵に出会うことなくここまでこれたのだからそれはそれでいいことだろう。
ちなみに呪文無しでの魔法発動は、効率1%以下らしい。
流石にそれはちょっとと思うので、技名だけは叫ぶことにしている。
ただ技を叫ばずに攻撃すると、何の攻撃か分からずに相手は受け止めることになるが、攻撃をされた瞬間と声を発する瞬間にそこまでの時間差はあまりないため、技名を叫んだ方がいいだろうと俺は思っていた。
といった内容が瞬時に脳裏に俺の中でかけめぐると同時に、目の前の男二人が左右によろめいて倒れる。
二人のいる間に、風の結界を放り込んで大きくすることで、結界によって突き飛ばした形だ。
他にも使い方はいくつも考えついている。だから、
「“風の結界(ウィンド・ウォール)”」
そう叫んで今回は二つほど小型の結界を作り、両手で持つような形にする。
そこで目の前の箱を持った人物がこちらに向かって炎の球を幾つも飛ばしてくるが、先ほど呼び出した風の結界を目の前で大きく広げるイメージを俺は持つ。
すると俺の持っていた風の結界は、まるで縦のように薄く大きく広がる。
ある程度意志で結界の大きさを制御できるのも、ファンタジーな感じがするなと俺は思う。と、
「化け物が!」
などと箱を持った人物が吐き捨てるように俺に言う。
それを聞いて俺は、
「失礼だな、お前たちの方こそ町を破壊しようとしているくせに」
「これは我々の力を思い知らせるのに必要なもの、あの方のために!」
と叫ぶのを俺は聞きながら、さて、どう箱を奪おうかと思っていると、そこで横からナイフのようなものが飛んできて大きな音を立てる。
同時にその人物の手から箱が落ち、慌ててそれを拾おうとするも次の瞬間、
「はぁああああ」
「ぐふっ」
いつの間にかそばに近づいていたキャサリンが、その箱を持っていた人物に蹴りを加える。
清楚な白いローブから白く長い脚が見えて蹴りを加える様子に、俺は少し戸惑った。
そういえば一瞬、視界からキャサリンが消えていたなと俺は思い出す。
俺に、この箱を持った人物が気をといられているすきに、何かそういった魔法を使ったのかもしれない。
そして結界に箱を包んで、キャサリンが箱を手に入れて、
「ご協力感謝します」
「いえ、はい。……体術がキャサリンは得意なのですか?」
「はい、たしなみ程度に少々」
そう答えるキャサリンに、人は見かけによらないと俺達が思っているとそこで、耳障りな音が響いたのだった。
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