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異世界転移=主役とは限らない?

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“物語”の結末

「──そのまま俺はあんたに、俺を弟子にしてくれないか、と言ったわけだ」
 薄暗い石造りの一室で、二人の男が机を挟んで話し合っていた。一人は長身痩躯の男。この世界で標準的な魔法使いが着用するローブを身につけ、杖を机に立てかけていた。対面にいたのは黒いローブを身につけた子供だった。外見に反して老人のような気配を持っていた。
 その子供が男の話を聞きながら、歪な笑みを浮かべる。
「なるほどのう。そういった経緯であったか、お前の奇行は」
 痩躯の男が、繊月の笑みを浮かべる。
「何かを変えようと思ったのは、あれが初めてだった。今はいい気分だよ」
 子供が「ふむ」と言って頷く。
「良かろう、ならば儂が教えるに足る。ついてくるがいい」
 子供が立ち上がり、暗がりの向こうへと消えていく。男も立ち上がった。
 男が振り返る。視線の先には三つの死体があった。彼と共にここまで来た人間たちの死体だった。残りの一つは、原型を留めていなかった。
 女の死体へと目を向ける。薄い灰色の瞳には、何の感情も映されていなかった。
 男が歩き出す。子供が消えていった暗闇の中へと、一歩を踏み出す。
 仄暗い闇の中へ、男は喜びと共に進んでいった。 
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