闇に沈んでいた意識が徐々に浮上する。
横たわった自身の体
背中には固い感触
そして、ゆっくりと瞼をあける。
目の前に広がるのは星空
周りに視線を向ければ金属のフェンスが周りを囲っている。
静かに立ち上がりフェンスのそばまで歩み寄り、視線を下に向ければ街灯が灯る街が見える。
だがなによりの疑問は
「……ここはどこだ?」
ここにいる理由が思い当たらない。
俺はなぜここにいる?
何のためにここに来た?
疑問が尽きない。
現状を理解しようと思考を奔らせるが答えが出てこない。
何らかの原因で記憶が混乱しているのか?
そんなことを思いつつ振り返って初めて気がついた。
俺が寝ていた……この場合倒れていただろうか?
その場所のすぐそばに黒いカバンがある。
「なにか手掛かりがあればいいが」
そんなことを思いつつカバンの中をあける。
カバンの中にはいくつかの箱が入っていた。
一つ目の箱には金の延棒
二つ目には魔力も何もこもっていない純度も大きさも様々な宝石
三つ目には懐かしい人たちの魔力がこもった宝石
そして、四つ目には共に高魔力がこもったペンダントが二つ
片方には深紅の宝石が
もう片方には漆黒の宝石が
「……あ」
静かに涙が零れおちた。
その瞬間理解した。
なぜ俺がここにいるのか?
ここにいるのはなぜなのか?
「……ここは」
魔術協会に追われ、聖堂教会に追われ
「……並行世界か」
世界からも追われた俺が最終的に行きついた終着点だった。