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永遠の謎

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5部分:前奏曲その五


前奏曲その五

「好きだ」
「ならば。共に」
「そうしたいな。私が生きている限りな」
「有り難うございます」
「ルートヴィヒならきっと」
 温かい目でだ。甥を見続けている。
「素晴しい相手に巡り会える」
「素晴しいですか」
「そうだ、卿に相応しいな」
 そうだというのであった。
「必ず会える。それが何時になるか」
「何時になるか?」
「そして誰なのかはわからないがだ」
 その二つはわからないのだという。しかしそれでもだというのである。
「必ず会える」
「では」
「楽しみにしておくことだ」
「わかりました。それでは」
「それでなのだが」
 ここまで話してだ。ルイトポルドがあらためて甥に話した。
「プレゼントを用意しておいた」
「プレゼント?」
「そう、積み木だ」
「積み木ですか」
「好きだな」
 甥のこの好みは既に聞いていた。だからこそ知っているのだった。
 その積み木を用意していると話したうえでだ。また話すのだった。
「それで何を作るのが好きだ?」
「はい、お城です」
 王孫は笑顔で答えた。
「お城を作るのが好きです」
「城か」
「駄目ですか、それは」
「いや、いい」
 ルイトポルドはまた笑顔で甥に答えた。
「城はいいものだ」
「そうですよね。私はお城が好きです」
「そんなに好きか」
「白い。山の上にあるお城が」
「山の上、か」
「母上によく連れて行ってもらっています」
 彼の母であるマリアは本を読む趣味はない。しかし森の中や山を歩くことが好きだ。そして湖を見ることもだ。彼もまた連れて行かれているのだ。
「ですから」
「それでなのか」
「そして本で読んだお城に」
「それは兄上の趣味だな」
 彼の兄、即ち太子である。太子の趣味は読書である。王孫はここでは父の影響を受けているのだ。それで書も好きであるのだ。
 この二つが彼を育てようとしていた。そしてその積み木もだった。
 積み木についてだ。王孫は目を輝かせて話すのだった。
「一つ一つ積み上げて。そうして」
「お城をだな」
「何時か。私のお城を」
 そしてだった。彼はこうも話すのだった。
「築きたいです」
「そうだな。それは何時の日かな」
「何時か、ですか」
「卿が王になった時にな」
 ルイトポルドはこの時はあまり考えずに言った。しかし甥が必ず王となる運命だということもわかっていた。この言葉がどういった形で現実になっていくのか、彼はそこまでは考えていなかった。むしろ考えられなかった。
「そうするのだな」
「はい、わかりました」
 王孫は健やかな笑顔で答えたのだった。
 それから数年経ってだ。彼はまた成長した。その彼がだ。
 ある日壁に描かれている白銀の騎士を見た。
 白鳥に惹かれた小舟に乗りそのうえで姫の窮地を救わんとしている。銀色の鎧と白いマント、そして剣を持っているその騎士は金色の髪に青い目を持っている。まさに絵画の中の美貌だった。
 その騎士を見てだ。彼は傍にいる乳母に問うた。
「ねえ、婆や」
「何でしょうか、殿下」
 乳母は優しい声で彼に応えてきた。
「何かありますか?」
「あれは誰なの?」
 まだ騎士を見ている。そのうえでの言葉だった。
 
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