永遠の謎
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49部分:第四話 遠くから来たその二
第四話 遠くから来たその二
「そこから彼が今いる場所を考えるといい」
「一時ヴェーゼンドルク家にいたことはわかっています」
「そこで問題があったそうですが」
彼等はそこでワーグナーがヴェーゼンドルク夫人と問題を起こしたことも知っていた。だが王にはそのことをあえて言わなかったのだ。
だが王は問題という言葉に目を微かに動かした。しかしそれ以上は言わずにだ。それでまた彼等の話を聞くのであった。
「とにかく中々居場所がわかりません」
「借金取りにも追われていますし」
「彼等からも逃げていますし」
「見つけ出すのは」
「しかしだ。森とリヒトだ」
またこの二つを話に出す王だった。
「こうしたことから考えていってくれ」
「推理してですか」
「そうしてですね」
「ワーグナーを探し出せと」
「その通りだ。ワーグナーは間違いなく生きている」
これは確かだった。死んでいる筈がないことはわかっていたのだ。
「そして多くの手掛かりがあるのだ」
「ではその手掛かりを使って」
「そうしてワーグナーをですね」
「探し出しこのミュンヘンに案内する」
「陛下の御前に」
「その時を待っている」
王の言葉に切実なものが宿っていた。
「だからだ。頼んだぞ」
「わかっています」
「そのことは」
周りの者の言葉も切実なものだった。彼等もまたこの若く純粋な王を敬愛していた。彼にはそれだけのものが備わっているのは確かなのだ。
そしてだった。周囲はワーグナーを探し続けた。その中であることがわかった。それは。
「ワーグナーがか」
「はい、ミュンヘンにいました」
「少し前にです」
「陛下が即位される二週間程前にです」
「このミュンヘンにいたのです」
「惜しかったな」
王はそのことを聞いて唇を噛んだ。無念さがその顔に出ていた。
「それは」
「はい、全くです」
「その時にここに連れて来ればよかったのですが」
「それは適いませんでした」
「残念なことに」
「しかしだ」
だがここで王は気を取り直して言った。
「このミュンヘンにいたとはな」
「はい、それは確かです」
「ついこの前に」
「そのことはいいことだ」
微笑んでだ。そのうえでの言葉だった。
「実にな」
「おそらくこの近くにいるでしょうか」
「まだ」
「いや、そうとは限らない」
楽観はしていなかった。決して。
「二週間もあれば馬を使えばだ」
「かなりの距離を進める」
「そういうことですか」
「ましてやお尋ね者で借金取りに追われているとなればだ」
王は洞察していた。深く細かいところまでだ。
「尚更だ」
「若しくは人知れない場所に潜伏しているか」
「そうだというのですね」
「そうだ。探し出すのは容易ではない」
王はこのことはよくわかっているのだった。誰よりも。
「だからだ。慎重に頼む」
「はい、わかっています」
「そのことは」
周りも王のその言葉に応える。そうしてだった。
またワーグナーを探しはじめる。その中でわかってきたことは。
ワーグナーの人生だった。調べているうちにわかってきたのだ。周りの物達も王に対して彼の人生について語るのであった。
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