恐ろしい王女
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第三章
それならばとだ、イアソスは言うのだった。
「ならばだ」
「彼女を妻とせずに」
「他の娘を妻に迎えてだ」
そうしてというのだ。
「わしの次の王になれ、そしてだ」
「そうしてですか」
「アタランテのことはよしとしろ」
「いえ、彼女の様な強い娘を妻とすれば」
メラニオンは自分を止めようとする叔父に確かな笑みで答えて言った。
「これ以上はないまでに頼もしいです、ですから」
「何としてもか」
「彼女に全ての勝負で勝ち」
そしてと言うのだ。
「必ずです」
「娘を妻とするか」
「そのうえでこの国を二人で継ぎ」
「国を治めていくか」
「そうします」
「そこまで言うならよい」
イアソスも遂に折れた、そのうえでメラニオンに言った。
「娘を手に入れる為に勝負せよ、しかしだ」
「死んでもですね」
「誰も恨むな、いいな」
このことも言うのだった。
「誰もな」
「承知しました、それでは」
「そなたもそれでいいな」
イアソスはアタランテにも問うた。
「今我等が話した通りで」
「私に異存はありません」
アタランテは雄々しい、女らしくないと言えばそうなる笑みで答えた。
「全く」
「そうか、ではな」
「はい、これよりですね」
「勝負をせよ、よいな」
「それでは」
「そして負け越せばか」
「その時は」
その目が光った、これが何よりの証言だった。
だがメラニオンの決意は変わらずアタランテとの勝負に入った、二人はあらゆる武芸の競技で競ったが。
メラニオンは次々と勝った、どの勝負も僅差であったがメラニオンが勝ったのは事実だった。彼は勝ち越しをすぐに決め。
それからも勝ち続け最後の弓の勝負となった、ここで誰もがこの勝負についてこんなことを言った。
「流石にな」
「アタランテ王女と弓矢での勝負は」
「これまでメラニオン殿は全ての勝負で勝たれているが」
「流石に無理だ」
「そうだな」
「メラニオン殿はアタランテ王女を妻に出来ない」
最後の最後の競技である弓矢にというのだ。
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