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わざと選ぶ

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第二章

「こちらにする」
「こちらですか」
「そうだ、これにする」
 こう告げたのだった。
「神々はな」
「ではもう一方がですね」
「人のものとなる」
 このことを明らかに言った。
「そうなる」
「それでは」
「そしてだ」
 ゼウスはさらに話した。
「そちらを私に捧げた人間達に戻すのだ」
「その様にしてですね」
「楽しむ様に言うのだ」
「わかりました」
 こうしてだった、プロメテウスはもう一方の布に覆われたものを人間達のところに戻した。そのプロメテウスをだった。
 ゼウスはまた自身のところに呼んだ、すると彼からゼウスに言ってきた。
「先程のことですが」
「私が選んだものか」
「あの時ゼウス様は」
「私は天空の神だ」
 この立場のことをだ、ゼウスは見事な髭を持つ強い光を放つ目の端整な顔で言った。
「ならばな」
「先程のこともですね」
「わかる」
 即座にこう答えた。
「先程のこともな」
「左様ですか」
「布に覆われていようともだ」
 無論見えない為にだ。
「私には見える」
「そうしてですか」
「あえて選んだ」
「あちらをですか」
「そうだ、人がどうしてかな」
「よいものを得られるかですね」
「それを考えるとな」
「あちらを選ばれましたか」
「人は食べなければならない」
 ゼウスはこの事実も峻厳な声で話した。
「どうしてもな」
「はい、その通りです」
「肉、そして内臓はな」
「人にですね」
「与えてだ」
 そうしてというのだ。
「食べさせそのうえでだ」
「美味いものを楽しむ喜びもですね」
「与えた、そしてだ」
「神々はですね」
「骨と脂だが」
 ゼウスは自分が選んだそちらの話もした、勿論わかっていて選んでいる。 
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