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永遠の謎

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450部分:第二十七話 愛を呪うその二十


第二十七話 愛を呪うその二十

 ロイヤルボックスに現れた王を見てだ。観客達も舞台の者達もだ。
 唖然としてだ。宴の場の者達と同じことを言った。
「な、何っ!?」
「陛下がか!?」
「何故出て来られたのだ!?」
「宴に出ておられたのではなかったのか」
 誰もが唖然とする。その王を見てだ。
「シラーも観られるとは聞いていたが」
「それでも今は」
「ゾフィー様はおられないのか?」
「御一緒ではないぞ」
「ではか」
「御一人で」
 来ていることがわかってだ。彼等は余計にだった。
 唖然としながらだ。話をしていくのだった。
「まさか」
「不仲なのか!?」
「ゾフィー様と」
「噂ではあったが」
「そういえばだ」
 ここでだ。さらに出た話は。
「御婚礼を延期されているしな」
「そうだな。それを考えると」
「やはり。それもあるのか」
「陛下はゾフィー様と不仲なのか」
「それならば」
「考えたくはないが」
 それでもだ。考えてしまうことは。
「御婚礼は破棄されるのだろうか」
「まさか。それはないだろう」
「そう。もう御婚礼は決まっているのだぞ」
「それを破棄されるとは」
「有り得ないことだ」
「そうだ。有り得ない」
 こうだ。それは否定されようとする。しかしだった。 
 それと共にだった。彼等はそれでもだった。
「しかし。有り得ないことは往々にして起こるものだ」
「ましてや陛下だ」
「陛下はよく奇矯なことを為される」
 他の殆んどの者から見ればだ。そうなるのだ。
「だからだ。あの方にとっては有り得ないということはないのだ」
「ましてや女性の噂がない方だ」
「愛されるのは男性のみ」
「それならば」
「それも有り得る」
「そうだな」
「認めたくはないが」
 誰もがだ。舞台を観る王を見てだ。
 そうしてだ。これからのことに不吉なものを感じていたのだ。
 だがその中でだ。王は。
 ロイヤルボックスにまで届く声と自身に集中する視線を感じながらだ。供をしているホルニヒに対してこんなことを言ったのだった。
「前から感じていたが」
「前からとは」
「舞台を観ていてもだ」
 王が愛するだ。その舞台を観ていてもだというのだ。
「人は私を見るのだな」
「陛下をですか」
「そうだ。私を見るのだな」
 ここでも憂いに満ちた顔でだ。王は言うのだった。
「どうしても」
「そういえば」
 王に言われてだ。ホルニヒも気付いた。
 ロイヤルボックスにいる王に視線が集中していることに気付いた。声には既に続いていた。しかし視線には今気付いたのである。
 それを見てだ。彼は言った。
「誰もがですね」
「そうだ。私が王だからか」 
 そのせいではないかというのだ。
 
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