オズのエリカ
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第十一幕その六
「困っていないので」
「いいのね」
「多分このままです」
まさにと言うのでした。
「暮らしていけます」
「だからいいのね」
「はい、いい国に来たみたいですから」
「このまま暮らしていくのね」
「そうしていきます」
「そうなのね、まあ建国して猫が集まりだしたところだけれど」
それでもとです、ドロシーも言いました。
「今のところはね」
「特にね」
「ええ、何もない感じね」
ドロシーはトトにも応えました。
「別に」
「ただこれからね」
「これから?」
「この国はどうなるか」
それはといいますと。
「よくわからないわ」
「うん、まだはじまったばかりで」
「そう、もっとね」
それこそというのです。
「猫が集まってね」
「国が動いていかないと」
「何も言えないわ」
これがドロシーの読みでした。
「本当にね」
「そうだね、ただね」
「ただ?」
「もう一つ思うことは」
それはといいますと。
「エリカなのよね」
「ああ、あの娘だね」
「どうにもね」
「楽天的過ぎるんだね」
「そう、猫らしいけれど」
それでもというのです。
「あまりにもね」
「楽天的過ぎて」
「それでね」
まさにというのです。
「かえって心配になるわ」
「けれどエリカにそれを言っても」
「仕方ないわね」
「そう、ああそした娘はね」
まさにというのです。
「あのままだから」
「変わらないわね」
「うん、それにね」
「それに?」
「エリカはあれで政治はわかっているから」
それでというのです。
「そして確かに思考も決断も速いからね」
「それでなのね」
「そう、だからね」
「僕も大丈夫だと思うよ」
トトもというのです。
「その都度決断してそしてね」
「間違っていたらなの」
「間違いをあらためるし」
それでというのです。
「いいと思うよ」
「そうなのね」
「まあ落ち着いて見ていればいいよ」
トトはドロシーにこうも言いました。
「それでね、あとね」
「あと?」
「十時になったらエリカを起こして」
「そう、ティータイムよ」
「じゃあそれまではね」
「国を見て回りましょう」
今の様にとです、ドロシーはトトにあらためて言いました。
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